きらめく星座【公演中止3月5日(木)~8日(日)】 公演情報 こまつ座「きらめく星座【公演中止3月5日(木)~8日(日)】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    正しい音楽劇の傑作。レコード店主人の後妻役松岡依都美(いずみ)さんが凄かった。松竹少女歌劇部出身の設定を生かし、コミカルに踊る踊る。躁状態でイッちゃったサザエさんのようなキャラクター。観てるだけで楽しくなってくる。生演奏で次々に歌われる戦中流行歌が名曲揃い。灰田勝彦『燦めく星座』、市川春代『青空』、霧島昇とミス・コロムビア『一杯のコーヒーから』、中野忠晴『チャイナ・タンゴ』等々。明るく生き生きとした日本。
    日中戦争中の昭和16年、レコード店オデオン(音楽堂の意味)堂一家の物語。翌昭和17年12月太平洋戦争開戦前夜の閉店までを二幕で送る。
    店主の娘役の瀬戸さおりさんがやたら綺麗。その旦那となる義手の元軍曹、粟野史浩氏がド迫力。第一幕のクライマックスとなるシーンは素晴らしかった。本来憎まれるべきキャラクターである木村靖司氏演ずる憲兵が、物語の進行と共に愛すべき人間味を醸し出す井上ひさし節。

    ネタバレBOX

    この当時の背景を知りたいなら、『日本鬼子(リーベン・クイズ)日中15年戦争・元皇軍兵士の告白』がお薦め。
    強い兵隊に憧れた店主の息子、砲兵隊に入隊するも耳が良すぎる為、砲撃の音に耐えかねて脱走。日中間を往き来する船に潜り込むが日本人の中国人への差別的対応に幻滅。日本人でいることに嫌気が差して自首しようと戻ってくる。戦場で右手を失った軍曹、店主の娘と結婚するも、電車内での軍上層部の人間達の会話に失望し日本の戦争の大義への不信感が爆発する。第二幕のクライマックスともいえるそのシーンが何か取って付けたようで違和感が。その遣り取りを耳にし、身籠った赤ん坊を自ら大きな石を腹に叩き付けて堕胎しようとする娘も唐突過ぎ。それを諫める広告文案家の『この宇宙の奇跡とは生きている人間一人一人の存在そのものなのだ』という折角の台詞も空回りに感じた。
    無理に修羅場を作らず第一幕の感じでフェード・アウトするように物語を閉じていき、ラストのガスマスクの方が不穏な後味だったと思う。
    第二幕開幕の、夫婦で『青空』を聴くシーンや宮沢賢治の『星めぐりの歌』を楽譜から松岡さんが歌うシーンが胸に焼き付く。

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    2020/03/15 00:50

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