【筆に覚えあり入選!】家族のこと、その他のたくさんのこと 公演情報 ロロ「【筆に覚えあり入選!】家族のこと、その他のたくさんのこと」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    これから始まる物語
    舞台は前説から始まる。
    当たり前の事なのだけど、この舞台では前説が物語の一部となっている。

    初戯曲・初演出という若手の作家、演出家さんの舞台を王子小劇場がバックアップしての上演。
    舞台装置もしっかりしていて、初舞台とはいえ力の入り方がうかがえるし、集めた役者さんも掘出者の板橋さんやひょっとこ乱舞の中村さんなど、期待できる面々で、ワクワクしながらの観劇となりました。

    ネタバレBOX

    不思議な生き物に常に雨を降らされている男や、拾ってきた人間が新たな家族として加わる等、話はファンタジー的な要素が強いです。
    途中母親が帰ってくるたびに姿を変えて、カエルになったりオランウータンになったり。オランウータンになって帰ってきたときの息子の「人間に近づいてきてる」には笑ってしまった。

    不思議な生き物は道路の一面に水をまき続けています。
    赤、青、白のカラフルなバスタオル(?)のようなもので頭から腰下まで身を包んだその生物が、アスファルトの下の草花(とおじいちゃん)よ生えてこい!と水を撒いているのですが、これが最後に「お花畑」という幻想的な演出へと結びついていきます。

    死んでしまう友人、お父さん、拾ってきた弟、家出してしまう母親、等などに囲まれながら生活する長男。
    でも、それが話の主軸を形成しているかといえばそうでもなくて、話がブレにぶれて、どこに軸を見出せば良いのか、困ってしまいます。

    戯曲でうならせた、という作品という事だけど、正直なところ戯曲としても飛び道具的な言葉や展開に頼っている感じなので、もっとワンシーンを丁寧に書いて良かったのではないかと思った。
    いきなりの戯曲で100分はやはり難しかったんじゃないかな。
    なので、次に出るという「15minites made」での挽回を期待します。

    演出は、やりたい事がたくさんあって、それをとにかく詰め込んでみましたという感じで、逆にひとつひとつが軽く扱われてもったいなかったです。
    演出ももっと丁寧である必要があるけど、どのような演出の方向を目指そうというのかも、この作品だとイマイチ掴みづらかったです。
    現代口語劇の中に、遊びを沢山入れるという方向性なのかな?
    ちょっとスタンスが中途半端に見えてしまいました。

    笑わせる演出を沢山入れていたのだと思うけどあまり笑いが起きなかったのが、その中途半端さの証じゃないかな。
    いまいちノれない感じ。

    役者さんは、学生の方とそれ以上の方で演技に大きく差があって、掘出者の板橋さん、ひっとこ中村さん、変な生き物の両角さんなどは深みがあって良かったです。
    ただ、拾ってきた弟等の学生さんの演技と差がありすぎて、学生さんは可愛そうと言う感じでした。


    今後どのような作品を作って、役者さんは誰を起用するのかによっていくらでも化けてゆくと思います。

    期待の若い演劇人のはじめの一歩を見届けられた事を今後自慢できるように、成長してください。
    可能性を多分に感じさせる作家さんでした。

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    2009/05/04 16:00

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