Pickaroon!<再演> 公演情報 壱劇屋「Pickaroon!<再演>」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「超超超エンタメ活劇」という謳い文句通り、スピード感あるエンターテイメント公演。前回も観ているが、迫力という点では物足りなかった。とは言え、主人公不在でこれだけの物語を破たんなく描いているのは素晴らしい。物語は少しネタバレするが、7冊の日記を通して明らかになっていくミューズ的存在・御姫の過去。自分は何者なのか、その自分探しの旅が始まる。
    (上演時間2時間強)

    ネタバレBOX

    舞台は2層、そこへ可動式の階段を掛け、その取付位置などを変形させることで、状況や情景を変化させる。また上下階の行き来による躍動感、ダイナミックなアクションなど、その多彩な観せ方によって観客を魅了する。アクション等が最大の観せ所、魅力であるが、物語もその下支えをする。物語の背景を成す、象徴をもって人心を掌握・操作といった統治は観客の想像の及ぶところ。

    物語は一癖も二癖もある盗賊7人が盗んだのは赤ん坊、彼女を守り育てることで一致するが、先々に魔の手が…。そして名付けられたのが”御姫”。7人による物語は時代劇にしても現代劇にしても見かける構成図。何故かその守り役が盗賊や山賊という設定が多い。本公演は童話の”白雪姫”と7人の小人といった構成のピカレスク版。人物造形としては、7人の盗賊と敵役(為政者と腹心)2人が個性豊かで、戦闘能力・技の多彩さで楽しませる。大枠は勧善懲悪ものであるが、7人皆がピカレスク、その一枚岩でなく時にいがみ合うこと、疑心暗鬼になる深層も織り込み面白さを倍加させる。

    前回のシアターグリーン(BIG TREE THEATER)で観た時は、御姫がもう少し主体性があり存在感もあったように思う。確かに主人公不在と謳っているが、7人によって守り育てられる中で自我なりが芽生えるといった印象が欲しいところ。それによって時(成長)の過程が立ち上がって物語に幅と深みが出ると思う。さて、御姫との関わりで、先の象徴による人心掌握、直接に合致するか定かではないが、フェイクやデマに踊らされないためのリテラシーを1人ひとりが身につける必要があると思うが…。

    舞台技術としての音響、照明も連動してワクワクドキドキ感を演出する。音響はアップテンポの音楽でスピード感、交刃の効果音が臨場感を表す。照明は諧調することで印象付ける巧みさ。個々人の性格付け、それを衣装という外見でも際立たせる。全体的に観る、聴かせる、そして肌に感じさせるといったサービス精神に溢れた好公演。
    次回も楽しみにしております。

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    2020/02/27 12:28

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