ありがとサンキュー! 公演情報 劇団青年座「ありがとサンキュー!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    宗教で生活している登場人物というのは、舞台ではどこか一枚フィルターがかかっていて,観客からは感情移入しにくい。難しい素材だ。
    この芝居は宮崎のキリスト教会の牧師の家の百年紀だが、宗教色よりも生活感が強い。作者得意の宮崎の言葉も効果を上げている。普段あまりかかわることのない宗教で生活している一家の素顔が描かれる。戦後に一時流行した生活劇のような味がある。さすが青年座で、俳優陣は宮崎弁を、演劇の言葉にしていて、うまいものだ。しかし・・・・という前に。
    個人的な感想になってしまうが、私は、宮崎出身でこの舞台のようなキリスト教を信じる大家族出身の方とある時期仕事を共にしたので、この舞台設定は理解できる。見ていると善意と自省の人だった故人(その方はもうなくなっている)が懐かしく思い出される。登場人物やシーンのリアリティはある。
    しかし、引いてみればドラマのバランスが悪い。主人公(増子倭文江)の一代記、ないしはこの大家族の百年をやるつもりだったら、もう少し、長い時間の中で、相互のシーンの関連するテーマがあり(それはやはり、宗教と生活、ということだと思うが)、その葛藤がないと、生活感の面白さだけに頼ったエピソードの羅列になる。それでは、たとえば、休憩後の長い三幕は持ちきれない。
    登場人物も多すぎて説明不足だし、百年を行ったり来たりする劇の時間も長すぎ、その処理も恣意的という感じをぬぐえなかった。

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    2020/02/24 23:39

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