八つ墓村【公演中止(02/28(金) ~ 03/03 (火) )】 公演情報 松竹「八つ墓村【公演中止(02/28(金) ~ 03/03 (火) )】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    昨年「犬神家の一族」で劇団新派の新境地を開いた横溝シリーズの第二弾。脚本・演出は犬神に続く斎藤雅文。犬神は登場人物の人間関係も本格向きに複雑なのだが、要領よくまとめて、横溝作品の演舞場上演のスタイルを作った。
    横溝正史のミステリは、謎解きがしっかりある本格味でファンが多いが、この原作「八ッ墓村」は伝記小説の色彩が強い。そこが犬神とは違う。
    突然、実の父親が判明して、岡山の山村、一村全部という広大な遺産を相続することになる27歳の男(室隆太・関ジャニ)に沿って物語は展開する。物語の背後に、戦国時代の落ち武者惨殺の歴史や、ほぼ二十年前に起きた村民32人が惨殺された事件がある。犬神のような一家でなく、村全体がおどろおどろしい空気と人間関係に包まれている。名探偵金田一耕助(喜多村緑朗)も登場するが影が薄い。脚本は、巧みに原作追っていくが、芝居の本筋ががなかなか定まらない。端的にその処理の良しあしが舞台に出た。
    遺産相続の連続殺人の犯人探しなのか、山村の伝奇ホラーものか。名探偵ものなのか。
    登場人物と場所の紹介で一幕。事件の展開と解決が二幕になるが、鍾乳洞の中のサスペンスは、劇場機構をうまく生かして、八つ墓村の伝奇的雰囲気はよく出ている。反面人間関係は意外に淡彩にまとめていて,美也子(河合雪之丞)や典子は、えっつ、そうだったのか、という感じ。
    新派といえば、八重子に久里子、うまく役どころを心得ていて舞台を締める。喜多村緑朗と河合雪之丞が立派になって、演舞場の大舞台が務まるようになった。残念なのは、室隆太。昭和中期の雰囲気がまるでないので、この劇団の中では浮いてしまう。
    音楽に昔の映画の芥川也寸志の曲を使っているがこれがうまくはまっている。やはり、近時代劇なのだ。
    横溝の世界は乱歩のようにもう過去のものだ。今回はその中のその中の伝奇性がうまく取り入れられていて、公演的には犬神の持つ謎解き本格性よりも新派には親和性があるかもしれない。しかし、現代で受けるには、もう一つ思い切った革新的工夫がないと難しい。そこは新派の役割ではないかもしれないが、この路線でも、新派の財産になるよう丁寧に育てていってほしいものだ。ユニークであることは確かだから。

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    2020/02/20 23:55

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