酔鯨云々 公演情報 文化庁・日本劇団協議会「酔鯨云々」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    16日14時開演回(千穐楽、2時間)を拝見。

    よさこい鳴子踊りに、土佐弁に、登場人物の一人一人に脈打つ高知の気風…圧倒的な熱気で観客を席巻していった2時間。粗削りとはいえ、本作が「商業演劇」だったならば、上々の出来栄えかと。

    だが、本作は、勿論、娯楽中心の「商業演劇」ではない。
    舞台床面の「旭日旗」デザイン
    大量殺人犯が身にまとう紅いジャージ上下が象徴するのは「日の丸」
    劇中、特に「後藤梗子」との口論の端々から滲み出る「大浜六郎」の思想…
    敵討ちなり・「お国のために」なりといった、古来から我が国に根付く、自己犠牲さえも厭わない「精神的伝統」を天皇陛下に具現化させた上での刺殺=「全否定」こそが、作者が本作に託したメッセージだと、私なりに理解させてもらった。
    ただし、(特に最後の陛下降臨のシーンなどは)過大なテーマに脚本が位負けしていたように感じられた。

    ネタバレBOX

    なお、演じ手では
    軽妙洒脱な土肥役を好演の
    松田洋治さん
    DULL-COLORED POPの福島3部作・第1部『1961年:夜に昇る太陽』での純情可憐な少女から一転、凛とした女将を演じた
    倉橋愛実さん
    そして、こんな凄い座組の中でもキチンと存在感を示した
    相原佳花さん
    のお三方が特に印象に残った。

    【配役】
    大浜六郎(会社経営。伝統保守的思想の持ち主で策士。一人息子を殺された)
    …大滝寛さん
    土肥慎二(法務省広報官…のフリをした、六郎経営の会社の社員)
    …松田洋治さん
    後藤梗子(リベラル思想の持ち主。殺されはしなかったものの、娘に精神的な傷を負わされた)
    …小林あやさん
    西村千花(梗子の娘の友人で知的障がい者。殺傷現場で受けた傷跡が今も残る。琢馬と相思相愛)
    …相原佳花さん
    山本琢馬(加害者の父親の会社から仕事をもらっていた左官。娘の死後、悲嘆に暮れる妻から心が離れ、離婚。亡くなった娘の友人である千花に惹かれている)
    …鎌倉太郎さん
    桜井守行(出馬予定の政治家の私設秘書。当人が剣道の有段者であることが知れると、雇い主である政治家の意図を六郎たちに推察され…)
    …鍜治本大樹さん
    中岡結美(琢馬の別れた妻。千花にあからさまに敵意を示す。職業は高齢者介護)
    …坂井香奈美さん
    高坂峯子(料亭「酔鯨」の女将。土佐の女らしく、肝が据わっている)
    …倉橋愛実さん
    渡辺隼人(加害者の父親が経営する建設会社の社員≒ヤクザ)
    …石黒光さん
    大石洋多(加害者の父親が経営する建設会社の社員。隼人の舎弟)
    …鹿野宗健さん
    廣井新助、天皇、他
    …照井健仁さん(「影の主役」を熱演!)

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    2020/02/16 18:42

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