額縁舞台での公演ということもあり、全体として
視覚というか「観る」ことを強く意識したつくりの
舞台作品。
絵師ならぬ演劇人達の覚悟、心意気、気概、
飽くなき探求心、進取の精神などどこまで観取できるか、
チコちゃんの決めゼリフ
「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
ではないが、
「ボーっと見てんじゃねーよ!」
と、観る側の器量、鑑賞眼が試されているような気も。
ステージのスケールダウンに伴い以前の躍動感は
やや薄れてはいるものの、コンパクトになったことで
人々の何かに懸ける溢れんばかりの思いや人の営みの
もつ熱量のようなものがぎゅっと集約され煌きを
放ちながら伝わってくる。
江戸のレンブラントとも称される応為を扱っていることも
あって、場面ごとの構図や照明は緻密で繊細。より丹念な
人物造形と内面描写の掘り下げで、お栄(応為)の描画に懸ける
一途さや背負った宿命と懸命に向き合い格闘する姿などを
ぐっと浮かび上がらせていたのも好印象。