セビリアの理髪師 公演情報 新国立劇場「セビリアの理髪師」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    楽しくコミカルなオペラであった。技巧的、装飾的というのか、早口言葉のような曲が多い。これはベルディ、プッチーニなどより後の時代の作曲家にはないもの。スタンダールは『ロッシーニ伝』第29章の最後に「声域の〈広さ〉だけでなく、〈装飾音の質の高さと性質〉をも克服しなければならないのだ」と書いて、ロッシーニの歌は難しすぎて、そのうち演奏できなくなると予言した。そのとおり39作のロッシーニの作品で、現在上演されるのは数作しかなくなっている。

    「セビリアの理髪師」を見るのは、2016年の新国立劇場公演についで2回目。前回と比べて思ったこといくつか。ヒロインのロジーナは前回の方が可愛かった。後見人バルトロの滑稽さは今回が際立つ。特にロジーナの歌のレッスンの間の黙劇など。アルマヴィーヴァ伯爵は、前回若いハンサムな歌手だったので、ぴったりだったが、今回は太った中年男。流石に若い娘の心を射止める説得力はないかわり、変装などの滑稽味が目立った。フィガロは意外と脇役。それは今回も変わらない。演出は変わらないはずだけれど、前回はヒロインが目立った。今回は男たちのばかし合いが印象に残った。

    ネタバレBOX

    劇団四季の脚本室?のMさんが「ミュージカルで歌の間に関係性が変わる、そういう戯曲を書ける人は少ない。歌を入れるだけの歌芝居なら多いけど」といっていた。ぱっと思いつくのは「シカゴ」や「メアリー・ポピンズ」のようなミュージカルが、歌の間に関係性が変わると言える。「ラ・ボエーム」を下じきにした「レント」、ひとりひとり自分の過去と悩みを歌う「コーラス・ライン」もそうか。

    そこで、今回は歌の中で関係性がどう変わるかを少し注意した。一幕は少し寝てしまったので略。2幕で言うと、N11のロジーナのレッスンを受ける「愛に燃える心に」で、伯爵との愛が深まっていく。N13の音楽教師のバジリオを追い返す五重唱、N16でろジーナが、連れ去りに来た伯爵の正体を知ったあとの三重唱など、複数で歌う歌は、関係性の変化をあdしやすい。対話なので。最後の伯爵のアリアは、水戸黄門の印籠のようなもので、伯爵の正体を示して、皆をまとめる大団円。変化はするけれど、都合良すぎるというところか。

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    2020/02/07 09:59

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