満足度★★★★★
出だしが『だけど涙・・』と同じ。もっともこちらが元祖である。以前元祖と併演された『あしたはどっちだ』も、元祖の物語の数年後設定のスピンオフ。元祖に出てくる最も特徴的な人物・青木しのの過去に繋がるのが『だけど涙』だ、とは本作(元祖)上演後の挨拶で知り、工藤千夏の構想の的確さにひどく納得する。
それにしてもこちら元祖は傑作の部類。「死刑員制度」なる制度が存在する架空の物語であるが、想像を超えた状況に思わず笑ってしまう余白と、それでも場に流れる時間のリアリティが、絶妙に混在している。
配役がまた絶妙である。なぜぽこぽこクラブの彼?いやいや。若い死刑囚役、メイド衣裳で迎えるその「妻」、被害者の父、妻。問題の焦点がスペクトルのように移り変わるのも素晴らしい。