『どんとゆけ』 公演情報 渡辺源四郎商店「『どんとゆけ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    出だしが『だけど涙・・』と同じ。もっともこちらが元祖である。以前元祖と併演された『あしたはどっちだ』も、元祖の物語の数年後設定のスピンオフ。元祖に出てくる最も特徴的な人物・青木しのの過去に繋がるのが『だけど涙』だ、とは本作(元祖)上演後の挨拶で知り、工藤千夏の構想の的確さにひどく納得する。
    それにしてもこちら元祖は傑作の部類。「死刑員制度」なる制度が存在する架空の物語であるが、想像を超えた状況に思わず笑ってしまう余白と、それでも場に流れる時間のリアリティが、絶妙に混在している。
    配役がまた絶妙である。なぜぽこぽこクラブの彼?いやいや。若い死刑囚役、メイド衣裳で迎えるその「妻」、被害者の父、妻。問題の焦点がスペクトルのように移り変わるのも素晴らしい。

    ネタバレBOX

    その他・・
    *積み上げたボール箱を止める木材が、所々十字架又は墓標となっていた(『だけど涙』では前列最端の席で分らなかった)。
    *本作の初演(2009年)の前年公開された映画『接吻』がちょうど死刑囚の妻になる女の話。触発されたと想像するが、映画は女性の「精神(狂気?)」に焦点化していったのに対し、本作は明確なテーマを据え、しかも女性の存在に芯が通っている。
    *「死刑員制度」はネガティブな制度ではなく、死刑の正当性を被害者(遺族)感情のみに限定し、被害者が望まなければ死刑は執行されない点で、一定進歩した制度だ。被害者側も処刑に立ち会う事以前に刑に処する決断を行なう点で覚悟を求められる。

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    2020/01/29 00:24

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