沖縄世 うちなーゆ 公演情報 トム・プロジェクト「沖縄世 うちなーゆ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    沖縄返還直前の1972年、島袋亀太郎(下條アトム)が、引退を口にする。やっと念願かなって祖国復帰で、これから沖縄を良くしようというときになぜ。商売を伸ばしつつカメタロウを支えてきた妻(島田歌穂)と、父とは距離を取ってきた息子(原田祐輔)、「復帰党」の同志ふたりが、米軍占領下での亀太郎のたたかいをふりかえっていく。ほかに妻の友人でやはり商売上手な春子(きゃんひとみ)

    現在から、過去をフラッシュバックしていく形式(「生きる」型か)で、亀太郎のたたかいを描く。モデルはご存知、瀬長亀次郎。有名な演説の名文句などもしっかり使っている。沖縄警察で暴動をまとめた場面、さらには那覇市町に当選しながら、アメリカの法律を変えてまでの卑劣な策で追放された場面が一番の盛り上がりだ。「生きる」型にすることで、メリハリのついた評伝劇になったし、父に批判的な息子からの視点で、亀次郎をよく知らない人にも入りやすかったと思う。

    「所詮アメリカの前では蟷螂の斧」とか「俺のしてきたことは徒労だったのではないか」という亀太郎の「悩み」(亀次郎の、ではない)を作者は盛り込んでいた。その悩みに対する家族の励ましの言葉は、前半の亀太郎の言葉と重なっている。亀太郎は「勝ち負けなんて関係ない。私たちは戦わなければならないんだ」と言っていたし、「アメリカが一番恐れているのは連帯だ」と人民の力への信頼にゆるぎはなかった。これは亀次郎のものでもある。
    「不屈の男」の話を聞いて春子もいつも元気になったと言っていたし、私も亀治郎の言葉に舞台で触れて元気が出た。より良い未来のためにたたかうことの大きな意味をあらためて考えさせられた。

    沖縄のたたかいをよく知る人が見ればさらに感動は大きい。終盤では結構、客席で鼻をグズグズさせている人が多かった。

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    2020/01/28 08:08

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