沖縄世 うちなーゆ 公演情報 トム・プロジェクト「沖縄世 うちなーゆ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2020/01/25 (土)

    東京芸術劇場にてトム・プロジェクト『沖縄世 うちなーゆ』を観劇。
    2020年の観劇初めはトム・プロジェクトさん。今回の作品は戦後27年の1972年、沖縄が日本復帰する直前をメインとしたお話。フィクションではあるものの、主人公のモデルとなった方は、沖縄人民党から共産党に入り、那覇市長も務められた〈瀬長亀次郎〉という実在の国家議員であり、その方の奮闘ぶりや生き様をそのまま描いたような作風でとてもリアリティーがある印象。とはいえ、自分自身が生まれる前に起きた出来事ということもあり、正直あまり知識を持ち合わせていなかった中での観劇であったため、作品を通してこの方の知識を深めていった印象です。トム・プロジェクトさんの作品はこのような社会派の作品が多いので、観劇の度に新たな学びを得られたような感覚になるのも魅力の一つであるように感じます。やはり生きた教科書的な存在。毎回勉強になります。
    「戦争」と聞くと個人的には原子爆弾が投下された広島や長崎を真っ先にイメージしがちで、その爪痕は計り知れないということは当然理解していましたが、沖縄にとっての戦争はまた違った問題があり、これまた根深い問題だということに改めて気付かされました。戦争の重み、というか敗戦の重みというか…。戦後75年が経った現代でも、沖縄は米軍基地の問題が常にあり、まだまだ課題は山積。沖縄返還に向けて闘った今回の作品のモデルとなった方の奮闘ぶりや歴史、背景は理解出来ましたが、だからと言って基地問題が何一つ解決する訳ではないのがもどかしい気もします。でもこの作品を通して、今まで知らなかった事実を知ることが出来た点、基地問題は決して遠い話ではないということを感じられた点は少なからずプラスの要素だったかなと感じます(作品の中で出てくる「沖縄の中に基地があるんじゃなくて、基地の中に沖縄がある」みたいな台詞はなかなか印象的だったなー)。瀬長亀次郎氏はもちろん、沖縄人全員が望む社会に近付くことを願うばかりです。
    トム・プロジェクトさんの作品は比較的お堅い内容であっても程好い笑いを織り混ぜて上手くバランスを取っている印象がありますが、今回はその印象はあまり受けず、終始重い感じがしました。

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    2020/01/26 23:00

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