満足度★★★★
SNSが人を殺す・・・そこには「土蜘蛛」という大妖怪が潜むという設定。現在社会の問題を蜘蛛の巣(Web)というキーワードで妖怪と絡めた着想は素晴らしいし、オープニングの平安時代のシーンも、おっ~と目がひきつけられました。
ちょっと見終わって残念だったのは、海賊風のコメディータッチの登場人物が出てきたかと思えば、大きな悩みを抱えるシリアスな登場人物が出てきたり、ふんどし姿のイケメン二人組が出てきたかと思えば、おどろおどろしいメイクの土蜘蛛が出てきたりと、サスペンス・ミステリー・コメディーとちょっと欲張りすぎた感じで、ぼ~っと生きている私にとっては、まとまりがなく方向性がよくわからなかったかな~という印象。(ただ、様々な要素があったおかげで、舞台にメリハリがあったとも言えますが)
個人的には、二人の警備員の方の面白い掛け合いや、新人警備員の方の迷いやさりげない優しさのようなものが、直接ストーリーには関係はありませんが、印象深いシーンでした。
この劇団の公演の運営として面白いと思ったのは、ポチ袋による投票システム。気にいったキャストの投票箱に入場時にもらったポチ袋を投票することで投票数に応じて役者のギャラがアップすると同時に、ポチ袋に直接応援の気持ちをおひねりとして入れることもできるシステムだとか。通常は集客数だけでギャラが決まる小劇場メインの劇団の舞台、舞台での演技で客を引き付けることができればギャラが自然とアップ…というのはすごく正常で自然な仕組みかと。ちょっとやり過ぎるといやらしい感じになる懸念はありますが、ポケットに入っている小銭程度をポチ袋に入れる程度であれば、だれでもちょっと気になったキャストを応援しようという気持ちになるのでは。単なるアンケートの「お気に入りのキャストは?」より、直接好きなキャストを金銭的に応援できるという意味でとても面白いなと思いました。