カラカラ。 公演情報 劇団もっきりや「カラカラ。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鋭く重い問題提起をしたような公演。説明文にある原因不明の病気が発症し、患者はカラカラにひからびて体内発火を起こすという。国は患者を隔離し施設内だけで生活させる。何となく日本であったある病気と国の対応を連想させる。原告は国を相手取り裁判を起こし国家賠償を勝ち取ったと記憶している。
    時々、笑いを誘う台詞もあり、観せることにも配慮した好公演。
    (上演時間1時間35分)

    ネタバレBOX

    舞台セット…周りは暗幕、正面奥は紗幕があり別場所を表し、客席側は上手・下手にそれぞれ施設長の執務机・医師の診察机が白シーツに被われている。その白黒といった雰囲気が怪しく、物語の概観を表しているようだ。

    先に記したカラカラ病の体内発火は本当なのか?デマ、噂のたぐいで風評そのもの。それによって理不尽にも施設に隔離され、生活範囲を制限する。何となく日本におけるハンセン病を連想させる。施設内という場所だけではなく、就学・就労・結婚差別(公演では遺伝子レベルの病のため妊娠不可)など様々な差別や偏見などがあったと聞く。それは物語の台詞にある善良な市民によってである。さらに言えば身内でさえも患者を隠蔽せざるを得なかったらしい。

    本公演では「自由」の論議として「liberty」「freedom」を持ち出し、自由を主張する、要は自由を勝ち取らなければならないのが前者であると。「自由」と一概に行ってもその権利獲得の有・無が施設内・外にある「自由」の違いである。そこにアウシュビッツ強制収容所の”働けば自由”という歪曲した論議まで飛び出す。

    「差別」「自由」を強調した物語だが、さらに「特別」という隠蔽手段・手法を描いている。臭い物に蓋をするだけではなく、そうした環境下における「特別」な計らいで隠しておきたい事柄を正当化する嫌らしさ。根拠のない差別や制限、さらに怖い国家権力による「紙一枚」による理不尽な強制”力”をまざまざと描いた批判劇。
    今の世はインターネットを通じて情報が瞬時に得られるようになったが、その内容は混合玉石、必ずしも全てが正しいとは限らない。逆に言えば虚偽で人を陥れるようなものもある。国の施策に注視し、自分で考え行動する、そんな当たり前のことが風評によって左右される怖い世の中であることを痛感。
    次回の公演も楽しみにしております。

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    2020/01/25 19:01

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  • nadja 様

    コメントありがとうございました。
    これからも骨太な作品を上演していただければ、と期待しております。
    次回公演も楽しみです。

    2020/01/27 18:13

    タッキー様
    観劇ありがとうございました。これからも、息苦しい時代にならないように、息苦しさから解放されるような芝居をやり続けていきたいと思っています。出来れば、泣きながらも笑えるように。

    2020/01/27 05:06

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