なにをシェアするハウスター 公演情報 チームホッシーナ「なにをシェアするハウスター」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    常識や普通って何?誰か第三者の目を通して見た、感じたあやふやな基準によって縛られるのか。そんな意味深な問題提起をするような物語。逆に言えば、シェアハウスの住人は自由人、第三者から見れば少し変わった人たち。しかし変わっていると思うことが「常識」「普通」といった先入観、偏見によるもの。何となく理屈っぽく思えたが、それでも人物設定の妙とその個々人の立場、キャラクターを立ち上げた役者の演技は面白かった。
    そしてゲスト(木村花代サン)をこのように演出するとは…笑いの中にも、しっかり観せ聴かせていた。
    (上演時間1時間50分) 

    ネタバレBOX

    舞台セットは、シェアハウスの建物外観を表す木材支柱。中央手前にダイニングテーブル、椅子、後方にソファーという団欒空間。木枠による構図や室内ブランコを持ち込むことで空間的な広がり、そこに”自由”というイメージを持たせる。一方、テーブルやソファー、収納BOXなどは暮らしといった日常を演出している。その歪というか不思議なバランス感覚は物語の概観をイメージさせており、巧みな演出だと思う。さらに空間的な広がりは客席通路を用い室外も演出する。物語の展開を分かり易く、そして内的心情を表出している。役者は個々人のキャラクターを立ち上げ、ミュージカル風として楽しませるサービス精神も好かった。

    物語は母、娘が女性専用のシェアハウスに入居することによって起きる騒動を寓話的に描いた秀作。登場人物に負わせた性癖、立場、環境による偏見や差別を通して、何が「普通」かを問う。観せ方はユーモアを交えた描きであるが、そこに潜む問題提起は広範で鋭い。登場人物はゲイを通じて性的少数者(LGBT)、帰国子男(日本人だが英語で話し、アメリカでは外国人として差別)、コスプレオタク(いつまでも追っかけ独身?)、男性(恋愛)依存の傾向など、いろいろな”癖”のある人々だが、それが世間に理解されず受け入れてもらえないもどかしさ。その不寛容さが、少数の性癖者等にとっては息苦しい社会(世間)になっている。

    一方、マンガ「めぞん一刻」に登場する美貌の管理人・音無響子さんといったイメージの大家兼管理人が普通の人の代表しているようだ。そしてハウスで起こった事件を通して、普通=何か目に見えない(世間体?)のようなものに縛られ自由に振舞えないといった悲哀が透けてくる。
    ちなみに説明にあるセーラー服のスカートが嫌(否)という理由が”何となく”というもの。もう少し説得力のあるとよかったが…。
    次回公演も楽しみにしております。 

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    2020/01/23 17:23

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