スノー・ドロップ 公演情報 感情7号線「スノー・ドロップ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2020/01/11 (土) 14:00

    例え「現在」が変わらなくても…
    もう一つの並行世界に希望を託した苦しくも美しい物語。
    以下、ネタバレBOXにて。

    ネタバレBOX

    今年最初の観劇。

    田中愛実さんからご招待を受けてお邪魔しました。
    予約を入れてからは一切の情報を遮断していたので、どんな話なのかはフライヤー以上の
    内容は分からないままに観劇。

    まさかのタイムトラベルものだったのにはビックリ。
    過去にメールを送るという設定は、奇しくも年始に暇を持て余していたときにやった
    某有名アニメの原作ゲームでも登場するので、そう言う意味でも驚いてしまった。
    巡り合わせってのはあるんですなぁ。

    タイムトラベルものはそれこそ多くの作品が存在するので、話としてはどれも似たり
    寄ったりになってしまうけど、本作は厳密に言えばタイム「トラベル」ではない。

    出来るのはあくまでも「過去にメールを送る」事だけ。
    作中でも真白が言うように「逆タイムカプセル」でしかない。

    もう一つ面白いなと思ったのが、過去にメールを送ったところで、未来が変わるわけではなく、
    新たに並行世界が出来ると言う事。

    だから作中表現で言うところの世界Aはもう変えることが出来ない。
    けれど、その世界の悲しみを埋めることは出来なくても、その悲しみのない世界Bを作ることは
    出来る、、、かもしれない。

    その可能性を信じて奔走する真白たちの姿が痛々しくも美しい。

    我々観客は世界Bの2026年を知っている。
    けれど世界Aに住まうものは、それを知ることは出来ない。

    本当に桃花は救えたのだろうか?
    確かめようのない事実に、色んな思いはあったと思う。
    けれど世界Bが、彼らの望むものになっていると強く信じる彼らの姿は眩しかった。

    とは言え、世界Bが本当の意味で、あるべき姿を取り戻すのは2026年。
    桃花を助けるためとは言え、多くの仲間を巻き込み、そこに亀裂を入れざるを得なかった
    真白たちの苦悩は想像を絶する。
    6年だもんなぁ、、、真実が明かされるまで。
    長いよね、、、

    タイムトラベルものって、どうしても時系列が激しく動くから、演劇のように背景をイジれない
    ジャンルでは過去や未来の表現が難しいと思うんだけれど、本作はそう言う意味では世界Aと
    世界Bを並べる事で、分かりやすく表現されていた気がする。

    ただ屈託のない笑顔が弾ける世界Aに対して、世界Bはどうしても澱んだ空気が立ちこめる。
    この辺りのギャップの付け方が巧みだなと思いつつも、私は胸を締めつけられておりました。

    世界Bの2026年は、はっきりとは説明されない。
    6年という時間は長く重いけれど、願わくばかつての仲間は何らかの形で繋がっていて欲しいなと
    思わずにはいられない。

    私はネガティブで後悔しがちなタイプだけど、なぜか「あの時に戻りたい」とか「あの時こうすれば
    良かった」と言うのがあまりない。
    けれど、こういう仲良し大学生たちが登場する演目を観たときは、大学生活をやり直したいなって思う。
    もっと勉強したいし、もっと楽しく遊びたかった。
    そう言う意味でもこの作品は印象に残ったかな。

    それにしてもこのお芝居、素人目に見ても、すごいなと思ったのは、役者の皆様の動き。
    本編中、結構長い時間が逆再生に費やされるんだけど、あれってかなり難度が高い動きだと
    思うんだけど、あまりにも、皆さん、あっさりとやってのけておられたので、そうでもないんだろうか。
    私からすると、驚異的な動きで、結構見入ってしまった。

    後ろ歩きで、背の高い純一は頭をドアにぶつけないだろうか、ぶつからずに泥棒とシロの間を縫って
    戻ることが出来るんだろうかと、余計なお世話をしてしまうことも。
    早着替えもすごかったしねぇ。ちょっと目を疑うくらいに早かった。

    そういう意味ではホントにびっくりしたのが二ノ宮が壁に穴をあけるシーン。
    いや、もう、あれイリュージョンですわ。
    ほんと一瞬で額縁をどけて、さも、今、穴が開いたように見せるあの早業はすごかった。
    しかも世界A、B、二回あったしね。
    上演中だけど、拍手をしそうになってしまった。

    令和二年の記念すべき観劇初めに拝見させて頂いた本作。
    おかげさまで気持ちの良いスタートを切れました。
    役者の皆様、劇団関係者の皆様、素敵な舞台をありがとうございました。
    そして、田中愛実さん。
    ご招待いただき、本当にありがとうございました!
    すれ違いざまのご挨拶でごめんなさい!

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    2020/01/19 21:30

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