ニオノウミにて 公演情報 岡崎藝術座「ニオノウミにて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    STスポットの狭い空間にはパフォーマンスエリアが大きく取られ、その片隅に申し訳程度の客席が割合スシ詰めで30席程度か。
    このユニットの初見が数年前、横浜での殆ど取り付く島のない抽象舞台であったが、その風景を彷彿させた。ただし今回のは面白い。自分の感覚が耕されたのか..、しかし作り手の「問い」がより普遍的か否か(普遍的表現に昇華されているか)も大きな要素のはず。
    言語化して伝える材料が見出しづらいが、四角の台上の世界はある種の箱庭。愛着を感じる。そう言えば初見舞台にもあった宙に浮かぶ大きな球体が、場面によって色を変えて幻想的に光っている。もう一つ魅力的なアイテム、弦楽器は三つの伝統的な楽器を兼ね備える(これ如何に)。

    ネタバレBOX

    本舞台は最終的にある結語へ集約される「集約型」でなく、当初のテーマからイメージが拡がる「拡散型」と言える、と言ってみる(トータル的には集約されねば演劇としては売り物にならないだろうけれど)。
    奇想天外と言えば地点、先日観た鳥公園もそうであったが、装置など一工夫も二工夫もしているがそれが果して何に貢献しているのやら(笑)。チラシ通り「和」に寄った出し物で、せり上げた長方形の木の舞台、語り口とその中身も、能のテイストが(終わってみれば)そこはかと匂っていた。
    従って身のこなし所作や装置を設える動きなども儀式として連続性があり、といって俳優は和のモデルに「似せて」いる訳でなく、独自。この舞台での約束事が自律的に成り立っている、と見える。
    三幕の内一幕と二幕の間に休憩があり、おもむろにシュウマイセットとお菓子を売り出していた。思い返せばこれは歌舞伎系の劇場で休憩=食事として過ごす時間の再現である。売らんかな精神よりささやかながらのサービスでございます的売り子の雰囲気。場に馴染んでいた理由はそのあたりに。

    といった具合で雰囲気はとても良いが、魚の外来種と移民を重ねてみる着想は、お伽噺に潜り込み、現実社会で首を出す、という風に行きたかったがそこは難しいものがあった。

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    2020/01/16 08:42

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