満足度★★★★★
映画でも有名な物語であるが、演劇と映画を比較することはナンセンスかもしれない。しかし、それぞれの特徴を示す観せ方を感じることができ大変興味深かった。まず演劇はよほどのことがない限り、当初座った客席(場所)から動かない。その意味では定点観劇といえるだろう。一方、映画はカメラ位置、その撮影方法によって色々な観せ方をする。例えばアングル(といっても室内だけだが)、表情のアップなどの切り取りは提供(上映)された印象(映像)に止まる。もちろん観る人の感性によって違いはあるが…。
演劇は、個々人の表情を生(ナマ)で間近で感じる迫力がある。また映画はアップになった時、それ以外の人々の表情や動きが分からないが、演劇(3方客席)は登場人物の全体感を観ることができる。だから台詞のある人物だけではなく、他の人物を注視することも可能だ。視覚という直接的な刺激は、小説などの脳内想像とは別の意味で、観ている人の脳裏に強く印象付ける、そんな観応えある公演だった。
(上演時間1時間55分)2020.1.16追記