満足度★★★★
鑑賞日2019/08/31 (土)
「1961年:夜に昇る太陽」史実ありきだからこそ、流れに乗っていく悪意なき勢い…リスクを呑み込まざるを得ないシビアな背景、時代感が良い…まずは客観的に描かれる所に好感。演出としても演劇的な面白みがふんだんで、重い話が無理なく吞み込める。役者の剛柔の振れ幅もすごいな。剛の圧は半端ないし、コミカルさにも長けているし、コレを真ん前、至近距離で観れる幸せ。
「1986年:メビウスの輪」せっかく握った舵なのに… 加速度的にモヤモヤを増していく展開。決して単純な欲などでは語れない…言葉にし難い"ままならなさ"がキツイ。ヤクザ論法の演技が秀逸。そして…物言わぬモノの視点と声の描写がとても良いなぁ。
「2011年:語られたがる言葉たち」ひたすら"生"を叩きつけくる感覚。1,2部とは打って変わって… 芝居っ気から遠ざかり、ドキュメンタリーを眺めていた… ただ ただ言葉の奔流に晒されていた… その圧力が終盤の印象的なシーンに結実していくの見事。纏まりが感じられないのが演劇としては不満にもなるのだが、まさしくそこが本作の訴える本質でもあるのは伝わる。現実が…描く対象の母体があまりにも大きすぎ…煩雑すぎるのだ。確かにここにしか落とし所はないのだろう…作り手の実直さを感じる一方で、相性というキーワードが皮肉に響く。