lost memory(東京) 公演情報 劇団1mg「lost memory(東京)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    まず受付で、次に場内案内の女性に驚いた。他の劇団で活躍していた双子女優(改名して)がそれぞれ居たからだ。さらにダンス振付 衣装 担当の植田ぴょん吉サンがグッツ販売と経験豊富な方が前面に立ち、前説に物語の中核(妖怪)を担う若手女優を起用している。そのベテラン・新人といった組み合わせは、深みとスピード感ある展開を観(魅)せてくれた。
    少し気になったのは、導入部の曖昧さというか物語の世界観がどこを示し描いているのか判然としなかったところ。物語は記憶なのか創作の世界なのか? 描き方は時空間移動かパラレルワールドで、観せ方は劇団の謳い文句でいえば「モノノケ×ファンタジー」といったところである。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは妖怪がいる山奥の屋敷、和室欄間と襖、沓脱石の上に廊下が見え、さらに屋敷の屋根を思わせる場所を設える。上手・下手側の葦簀(よしず)に蔦が絡まり風情漂う。物語の情景や雰囲気は上手く演出できていると思う。

    物語は現代、絵本作家の雪野そら と鬼童丸が出会うところから始まる。絵本創作のため自分の記憶深くを探訪するようになり、説明にある廃村とされたアル村、女衒の職が罷り通るアル時代へ時空間を移動するようだが、そこには鬼童丸を始め妖怪たちがいた。その妖怪を憎む館の女主人・八重による妖怪狩りが始まり、物語は蠢き出してくる。
    劇団の魅せ場なのか、全員(人物・妖怪)によるダンスが披露されるが、少し舞台が狭く窮屈な感じがした。とは言え、キレのあるダンスは衣装映えも相まって公演の顔見世(物)としては好印象だ。

    八重が妖怪を憎む理由は、幼い頃 疫病が流行りその混乱に乗じて妖怪が父や多くの家族を殺した恨みを晴らすため...本来、妖怪は解明できない凶事と畏怖され、それを治すことは妖怪を祀ることに繋がり凶事をもたらせない鎮魂を意味する。しかし、実は祀ることをせず、逆に人間の欲望が祀り捨てを行ったという深い悲しみが観える。妖怪⇒疫病として観ると面白いかも。この主題部を経験ある役者が担い、若手には妖かしとして狐・狸・鼬に特殊能力を付け、妖怪の仲間に見立てる。その演技がパワーとスピードという若さ弾けるもの。経験と若さのバランス演技が情緒と清々しさを表現し見事だ。

    舞台技術は和楽器である三味線で臨場感を、回転するような照明は妖しい雰囲気を漂わせ物語の外観を支えている。ただし、先に記した導入部は、雪野そらが絵本創作のアイデアを得るためなのか、または鬼童丸が言う祖先が妖怪という記憶を探る物語なのか、自分にとってその世界観が判然としないのが残念なところ。また劇中、本当に必要な人物なのか、育成も兼ねた出演か疑問も残る。
    最後に受付と場内案内にいた双子女優とは、八重(咲楽あさみサン)と多摩(吉見碧サン)で劇中でも姉妹という設定にする妙は面白い。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/12/21 14:55

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