マクベス 公演情報 DULL-COLORED POP「マクベス」の観てきた!クチコミとコメント

  •  マクベスの世界を借りた、似非マクベス作品?
    単なる勧善懲悪の否定を超えた枠組みで再構築された
    贋作・マクベスか。
    このままでいいのか、いけないのか、
    悲劇なのか、喜劇なのか、
    それが問題。

     『蝶の力学 警視庁殺人分析班』に出てくる
    バタフライ効果ではないが、ほんの些細にみえる
    (設定も含めた)改変(改ざん、misdirection)がそれを
    取り繕うためにさらなる改変を呼び、本来の道筋
    (筋書き、公文書)から外れ、やがて(オリジナルとは
    かけ離れた)想定外のカタストロフィ?が出現する。
    ある人物が妄想の中で紡ぎ出している物語とみれば、
    いいも悪いも等価(同値)、ボーダレス状態ということで、
    成り立たないわけでもない(もっとも今回は、
    バタフライ効果というよりは「風が吹けば桶屋が儲かる」
    かもしれないが)。

     劇構造的には、パルコ・プロデュースで何年か前に
    佐々木蔵之介主演で上演されたNTS版『マクベス』に
    なにかしら近いものを覚える。

     どんな人であれ、些細なきっかけで心に魔が差す瞬間があり、
    特に価値の混沌化された世界にあっては、風向き一つで
    どう人生転がるかわからないといったあたりを
    物語の在り様自体が転変する様になぞらえて反語的に
    アイロニカルに提示した作品、趣向を凝らした書替狂言としては
    悪くないのかもしれない。ただ、演出面にムラがあり
    既視感のあるものが多く、求めすぎは承知の上でいうと、
    例えば、魔女たち登場のシーンでも、『朧の森に棲む鬼』の
    オボロたち登場の場面ほどの趣向がないと、魔女たちの
    仕掛けた世界に入り込んだということがぐっと伝わってこない。
    これなら、訳が分からないところは多いが、同じ松岡さんの
    翻訳をもとにしたadaptation『メタルマクベス』の方がまだよいか。
    マクベス斬り!... 残念!!

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    2019/12/19 18:19

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