満足度★★★★
鑑賞日2019/12/14 (土) 13:30
座席1階
瀬戸内の島々を望み、一人で暮らすハナばあさんの家に、木下刑事が逮捕状をもってやってくる。堕胎容疑。産めない理由がある女たちを、「人助け」した疑いだ。ハナばあさんは9人もの子を産んで東條首相らお歴々から表彰された経歴があるが、その子たちは戦死や広島原爆で全員が死亡していた。署に連行する木下刑事にも、物語が進むにつれ、隠していた秘密があらわになってくる。
被爆による被害で健康な子を産めないと恐る夫婦も多かった。ハナばあさんの堕胎は人助けかもしれないが、障害を持った家族へのいわれなき差別や偏見もあった。淡々と進む物語に、戦争被害に苦しむ人たちの思いがにじみ出るように描かれる。あの時代を想像力を目一杯働かせて感じたい。
看板女優日色ともゑは今回も貫禄十分。劇中ずっと続く長台詞を淀みなくこなしていく。この女優のすごさには、いつ見ても圧倒されるばかり。