満足度★★★★★
鑑賞日2019/12/07 (土) 18:00
校長が定めたルールを守っていれば平和に暮らせるという学校に新たに加わった生徒はそのルールに疑問を抱いて……な物語。
それを守っていれば安寧でいられる規律に従っている共同体に異分子が参入し、その規律に疑問を抱いて先住の構成員たちを啓蒙する……という構造にデール・ワッサーマンの「カッコーの巣をこえて/巣の上を」を想起。アシカがマクマーフィーで校長が婦長、的な。
その校長はある場面で北の将軍様のように見え、さらにファシズム、レイシズムを匂わせる場面も出てくる。
「安心できる」という理由のもと、定められたことに盲目的に従い続けることは独裁制につながる、という警鐘と受け取った。
序盤で出てきた「とどまるために走り続ける」というフレーズが終盤で再度クローズアップされて物語は締め括られるが、その最終場で出演者は「劇中の劇中人物」から「劇中の役者」に変わって(戻って)いる。
そう、冒頭は劇団の稽古場で新人役者を主役に抜擢しての稽古の始まりだったのだ。この「劇中の役者」が発した「とどまるために走り続ける」というのはそのまま劇団天動虫の活動方針・決意表明ではないか。
こんな風に作品を通して自団体の姿勢や方針を表明するの、大好きなんだよなぁ。
あと、連想したものの1つに宇宙移民系SFがある。
何代にも亘り大型宇宙船の中で暮らして「第二の地球」を目指していて、実は目的の惑星に到着しているのにまだ航行中だと信じて船内での生活を続けているが、ある日「禁断のドア」を開けた者がいて……というヤツ。