リビング(公演終了!!) 公演情報 カスガイ「リビング(公演終了!!)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    旗揚げなので初観劇、愛。
    愛の演劇家玉置玲央が放つ、渾身の作品。珠玉。
    脚本・演出・役者・美術・曖昧さと爽快感のバランス・愛◎

    この題材を取り扱った、と言うよりも、人間の根源的な欲求「性」と「生」についてとことん突き詰めた結果と過程が生々しく提示されていた感。
    人間であれば、この作品を観て何も引っ掛からないはずはない。

    とか、言葉で語るべきではないとも思う。
    これは劇場で観て、感じなければいけない作品。
    29日までしかやってない。何でだ。もっとやれ。ば良いのに。

    ネタバレBOX

    冷静になって考えると、全員が全員、嫌われても仕方ないような行動、発言、態度の、どうしようもない人物造形。
    ところが、嫌だと感じつつも愛おしさも感じる、何とも不思議な演出。これが玉置の演劇愛か。
    もちろん各キャラクターは、如何ともし難い理由を抱えているのだけれど、それに頼り過ぎていない。その理由から数歩先の問題と直面している。ここに、何とも言えない現実を見る。

    「出てけよ!」の一言で泣かせる。
    この一言が発せられるだけで、様々な物語が喚起される。見事。
    ラストシーンが、エクスタシーにもオルガズムにも受精にも見える。
    ゾクゾクする。


    PPTにて、演劇で人を救いたい、と玉置は言う。
    しかし、最終的に姉と弟、どちらが救われたのか、という問いには、
    「どちらでも構わない。観る人によってはどちらも救われていないと感じるかもしれない」と。
    舞台上で何かが救われるのではなく、観ている我々が救われるのだ。
    我々が、勝手に答えを見付けるのだ。
    まさにカタルシスではないか。

    舞台が、明確な答えをぶつけてくるのではない。
    生きているということをぶつける。
    生きていくということをぶつけられた。
    清々しい。


    各々が、生きていると言うことに対して何かを思うこと。
    各人なりに考えること。
    たとえその思考が一致しなくても、一緒に何かに対して向かっていく、という意味で共有している。
    ホチキス米山氏が、「文化祭のあの楽しさや、終わり際の切なさといった感覚を、一生味わっていたい」と発言。玉置も共感。僕も共感。
    演劇は作り手としてそれを感じることが出来るけれど、観客と作品とが混じり合うあの数時間の間だけでも、お互いに味わうことが出来ると思っている。
    それを、今回はたっぷりと感じられた。
    大変満足。

    リビングというタイトルが、実に巧い。

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    2009/04/25 15:41

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