満足度★★★★★
鑑賞日2019/12/05 (木) 14:00
座席1階
桟敷童子旗揚げ20年の集大成ということで、いやがおうにも期待は高まる。今回も期待を裏切らない、見事な舞台を見せてくれた。
客演の村井国夫もよかったが、村井演じるハナト(急峻な岩場で花を取る人)の三人娘も非常によかった。板垣桃子、増田薫、大手忍の三人だ。
物語は戦争の足音が九州の山村部にも届き始めている戦前の時代設定。山奥の村にランの花を取る職人がいるのだが、この村にその花を買い付ける会社の一団がやってくる。幻の花を取れば大金持ちに。ハナトの父親は三人娘を放置していて嫌われているのだが、長女のトキワが父に弟子入りを願い出る。狙いは、急峻な山奥の崖に咲く、幻のランだ。
「獣唄」というタイトルはこの花にまつわるものなのでネタバレを防ぐため控えるが、三人娘は結束して幻の花を追う。しかし、その一人一人をとてつもない悲劇が襲う。
今回、主役とも言える3人娘が客席に感動を巻き起こした。鬼気迫る表情と演技、胸に突き刺さるせりふ回し。村井国夫を凌駕する出来栄えだ。この劇団が得意としている光と影の演出が今回も威力を発揮した。
私がこの劇団でイチオシのもりちえは今回、花買い会社の社長の奥さん。世間知らずの娘とのシーンがしっかりしていて、脇をがっちり固めた。
恒例のラストシーンについてはネタバレBoxに。
桟敷童子。今回も見ないと損するぞ。