殊類と成る 公演情報 劇団肋骨蜜柑同好会「殊類と成る」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2019/12/05 (木)

    5日19時開演回(125分)を拝見。

    随所に頭のフル回転を求められてるようなセリフ解釈の難解さ。だが、かといって、凡人の観客を拒絶する訳では決してなく、(本当に理解したかどうかはともかくとして)観客にとって、実は案外、とっつき易いテーマであり・作品であったのではないか。
    私のささやかな観劇経験の中ではあるが、これまで「類似品」に出くわしたことが一度もないフジタタイセイさん独特の作風に、今回もまた引き込まれた125分だった。

    ネタバレBOX

    過剰なまでの自己評価に支えられた、しかしひ弱で傷つきやすくもある自尊心を御し切れず、他人に信を置かぬ故に知人や同僚、家族からも遠ざかり、次第に自身を追いつめていった主人公の、心身の崩壊から再生までのストーリー。
    元ネタ『山月記』の李徴(りちょう)は結局、自ら招いた運命から逃れられなかったのに比べ、本作の主人公ナカヤマ・サンゾウは桜の花びらが舞い散る中、これまで出逢って来た人々に支えられて「生還」する…この結末故に、観客の誰もが救われた気分で帰路についたであろう。まぁ、突き放したままで終わらせなかったのが、フジタタイセイさんの優しさ、なんだろうな。

    【配役】
    サンゾウ(メンタルを病んだまま、大学卒業後も引きこもりを続けている主人公)
    …室田渓人さん(ご自身の体験が人物造形に反映しているんだろうな、と少しヒヤヒヤしながら観ていた)
    ナカヤマ(ここ最近は持病の喘息の発作も起きず、高校?の生物教師として、生活している主人公)
    …藤本悠希さん(舞台の進行につれて、「山月記」の李徴とイメージが重なってきた)
    主人公の父親・タビト
    …岩井正宣さん(The「昭和の父親像」だなぁと郷愁と共感を抱きながら拝見)
    主人公の義母・カツヨ
    …丸本陽子さん(義理の子・実子分け隔てなく愛情を注いできた、愛情と心労の半生が透けてみえた)
    主人公の妹(カツヨの実子)・スミコ
    …星秀美さん(兄のサンゾウ相手に、感情の昂まりを抑えたり・抑え切れなくなったりしながら、心の内をぶつけるシーンには、こちらにも気持ちがガンガン伝わって来た!)
    主人公の叔父・マサシ
    …日下部そうさん(前出演作での「信心深い生真面目なトンマーゾ」とのイメージの落差が凄い)
    ナカヤマの妻・タカコ(ナカヤマは何故か、既婚者であることを勤務先の学校に教えていない)
    …嶋谷佳恵さん(しえさんの演技の真骨頂は、それまで耐えて・耐えてきた怒りを爆発させるところかなぁと再認識)
    フカダ(サンゾウの大学での先輩。現・出版社勤務)
    …塩原俊之さん
    クギモト(サンゾウの大学での友人。現・文科省所属)
    …森かなみさん
    シズカ(ナカヤマが勤務する学校の生徒。ナカヤマに想いを寄せている)
    …林揚羽さん(過去作で抱いていたイメージが良い意味で崩された)
    ワタナベ(学校の音楽教師。ナカヤマのことが気になっている)
    …赤星雨さん
    ヨシカワ(学校の国語教師。ナカヤマを自分と同種の人間だと思っている)
    …石川琢康さん
    医者(主人公の主治医)
    …やまおきあやさん
    ナース/タカコのバイト仲間のパン子
    …杏奈さん(トリックスター?な役割を好演)
    乞食(劇中の節目節目に登場。このままだと主人公が陥るであろう将来を、その零落した身なりで暗示?警告?する存在←主人公に内在する自己防衛本能の具象化?)
    …安東信助さん(あちこちの舞台で引っ張りだこな理由がよくわかりました)
    劇作家/その他
    …フジタタイセイさん(ラストシーンの「花咲か爺」で、ぜぇ~んぶ持って行ってしまったw)

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    2019/12/06 00:15

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