獣唄 公演情報 劇団桟敷童子「獣唄」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    山間の村、神聖な伝統家業(世襲制?)そして大東亜戦争と、桟敷童子のアイテムがそろった舞台だが、花採り業というオリジナルな素材を据え、悲劇性の高い作品となっていた。個人的な感覚だが、桟敷童子の「お家芸」とは言え、新たな素材というだけでなく最近の桟敷作品にある濁った感触、話の筋だけを追えばそれなりなのだが、行間にと言えば良いのか、ザラついたものを感じる。戦争戦死という脇筋も「悲話」という物語性のツマにさせおかない、逼迫した様相(現在に刺さるもの)を滲ませていた。(微細な部分から感じ取った所で、ある種の投影があるかもだが。)

    ネタバレBOX

    桟敷童子の初日は考えてみれば初めてで、役者の噛みや、付けられたスピーディな動きを「追う」ニュアンスが若干あって(不具合を感じるレベルでは勿論なく)「構成の提示」の趣きを感じたがこれはこれで成程、芝居というものはこうして作られているのだ、と興味深し。いつもはちょうど頃合の果実を食んで感じ入っておったが、熟す直前の瞬間を覗く新鮮さ有り。

    花を商う村だが「はなと」と呼ばれる花採り人は今村井國夫演じる老人ただ一人。だが彼には娘が三人あり、自分らでも花を採る。母を殺したのは父だと、仇敵のように忌み嫌い面と向って罵詈雑言も厭わぬが、父も父、花に捕らわれ花以外に何の頓着も無い一見不人情者。「花」と言っても採って来るのは高山の崖に自生する蘭の花、様々種類があってどれも希少種だが、その中にも一等級があり、さらに向うに幻花(まぼろばな)と言われる「獣唄」なる種、これを巡る伝説がまた独自で唐十郎並みの力技で物語に組み込まれている。

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    2019/12/05 14:17

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