満足度★★★★
役者さんがやたらと上手から下手、下手から上手へとスタスタと歩くシーンが多く、何だかコンテンポラリーダンスみたいだなぁ、と思いつつ観覧。
中小企業の電材店で働く人々の群像劇で、人間模様を一歩引いて描いているため淡々としがちなところを、役者陣の達者な演技によって地方で働く人々の息遣いが感じられるお芝居になっていた。
斉藤マッチュさん、「20歳の国」でポケットに手を突っ込みながらオラついている印象が強かったけど、今回は役に厚みがあって好感を持った。
宮崎弁の台詞は独特の圧があって、特に主宰の松本さんが怒り気味に発する宮崎弁は客席で聞いていても「ビクッ!」としてしまう迫力があった。
iaku「あつい胸さわぎ」での無神経な上司の演技が記憶に残る瓜生和成さん、今回の苦悩する支店長役もハマっていた。
特筆すべきは山田百次さんの演技。「普通にこういう人、存在しているよね」って思わせてくれる佇まいや表情、仕草など素晴らしかった。
お芝居としては、もう少し出演者数を減らして、瓜生さんと荻野さんの関係など、ひとつひとつのエピソードの深堀りをしてくれたほうが個人的には良かったけど、これくらいで描いたほうが余韻が残り観客の想像力を喚起する、という部分もあるのかもしれない。
上演中の喫煙シーンに関して事前に何度もアナウンスと注意喚起が行われる。「・・とはいえそれほどでもないんでしょ?」などと侮っていたけど、実際に上演が始まると喫煙所が舞台なので皆さん吸うわ吸うわ。むしろタバコを吸ってないシーンのほうが少ないくらい。客席からは副流煙を吸い込んでしまったのか時折咳き込む音がちらほら聞こえたりもしたので気管支が敏感な人はぜったいに奥の席をお勧めします(私は2列目で観たので途中ちょっとだけ咳き込んでしまった)。