イイヒト、ワルイヒト 公演情報 演人の夜「イイヒト、ワルイヒト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    役者の方々のレベルが高いので非常に満足でした。
    プロの方には釈迦に説法でおこがましいのですが、素人の劇というのは、次に相手がこういうセリフをいい、自分が次にこう言うというレスポンスでがっかりすることが多いのです。時間と金返せ〜って。
    しかし今回の役者さんは、本当にその部分の演技の基礎が出来ている方が多くて、レベルが高いなあと思いました。

    相手の予期せぬ言動に人が反応する時は、まず「目」です。目線がピクっとわずかに反応する。何十回も練習して相手の言葉は十分知っているのに、まるで初めて聴いた観たというリアクションを、コンマ何秒のわずかな目線の間で演じられる人たちの演技は観ていて本当に気持ちがいい。

    工場の人たちもきちんと目の前にどういう機械があって、どの操作を質問しているか。きちんと頭の中でその機械がリアルに存在している演技も気持ちが良い。もうこうい観客が気づかないところでも、手を抜かずに演技している空間は観ていて本当に気持ちがいい。

    ドラマの主題はサイコパス殺人という暗いテーマでありますが、小さな劇団にありがちな「俺の理不尽をお前達も味わえ」というタイプの暗さでは全くない。独りよがりではない冷静な視点も良かったです。やはりシリアス劇であっても、エンターテイメントという骨格が基礎土台だと思います。


    工場のメンバーは皆演技が良かった。
    また女性3人の役者さんも良かった。
    主人公に嫉妬する役の女性は本当に上手だった。主人公に恋する女性も上手だったけれど。
    嫉妬女性の方の、もう本当に心の中の大きな動揺を小さなリアクション目線で表現している演技は、観ていて気持ち良かったです。
    主人公と記者のサイコパスの演技も良かった。もちろん本物のサイコパスではなく、計算されたサイコパス度合いです。
    難しいテーマをよく演じきったと思いなす。

    殺された男の子のお父さん役の方も上手です。きちんと演技の基礎を訓練されたのでしょうか。相手の台詞に初めて聴いたというリアクションが安定しています。

    ネタバレBOX

    以下釈迦に説法で素人の意見です。演出の方へ。勝手な意見を述べさせて頂きます。すみません。

    主人公が最初の女の子の殺人をする時。狂気が足りないです。野良猫を殺してどのように死んでいくのか観察するという前に台詞のように、やはり死んでいく過程を興味深く観察するというもっと狂気の人の演出があると、イイヒトとワルイヒトの落差がより大きく効果的であると思います。
    それは二番目の殺人も同じ。主人公は人が死ぬ時の様子を、本当に興味深く観察するという狂気。ただ単なる殺人ではないのです。というところが惜しいと思いました。

    また主人公が記者を殺害してその身体の一部を持ち帰った時、黒いビニール袋を床に置きますが、袋の中味が軽すぎます。
    主人公が床に置いた時に「ドサっ」という重い音がして、観客はあの部分が入っているのだと戦慄するシーンなのに惜しい。
    大きな白菜丸ごと一個いれて、ドサっと音をだす演出があったらいいなと思います。

    また主人公に恋する女性。その黒いビニール袋の中を観た時の反応が軽すぎます。普通の人が本当にそのような遺体の一部を観たら、まず身体が生理的拒否反応を起こすことでしょう。
    オエオエと嗚咽して臭いに鼻を塞ぐことでしょう。
    しかしオエオエと身体が拒絶しながらも、主人公に愛を打ち明けるからその落差にまた観客は引き込まれるのですが。その部分もせっかくなのに惜しい。と思います。

    あと記者さん。個性の演技で楽しみましたが、ただ一つ。工場や相手の家に入るときが軽すぎる。
    初めての家に入る時は、まず無意識でもちらっと部屋全体を見るなどのコンマ数秒の間があるはず。
    自分の良くしった舞台の上にあがって来たよ〜。という演技は惜しいです。取材相手の家や工場に断りもなく入って行く時はあんなにスタスタ入らないです。もしあなたが初対面の人の家にいきなり入るとしたら、あんなにスタスタ周囲も見ずに入り込まないでしょ?誰か他にいるのか。どういう生活をしているのか。この人物がその人物なのか。別人かも。など警戒しながら入るはずです。

    最後に主人公の父親役をやった古川さん。このように演技のレベルが高い人達の間で役者が今後もやれると良いですね。

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    2019/11/29 17:43

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