廃優 公演情報 牡丹茶房「廃優」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    メンヘラ女が織り成すスナッフ・ホラー。脇に至るまで見事に良い役者を揃えている。
    冒頭のメンヘラ妹役の赤猫座ちこさんは強烈。誰もが思い当たる、自我に押し潰されていく人間を凝縮して具現化。ずっと記憶に残るシーンに。アーティストに憧れてアーティストにはなれなかった、全ての無名の表現者の鬼火のような作品。
    主演の川峰はる香さんの漂う虚ろな視線が怖い。
    このレベルの作品を上演し続けるのはかなり凄い。劇団にリスペクト。
    会場は観易くスタッフは非常に有能。お薦め。

    ネタバレBOX

    スナッフ映画(実際の殺人を娯楽として撮影したもの)の撮影チームが鄙びた温泉宿のピンク・コンパニオンを拐っていく。その中の一人が殺人の才能を見出だされ、俳優としてメンバーに加わる。
    2時間20分はちょっと長い。コメディとホラーの境目を綱渡りして、奇妙な味わいに。中期黒沢清の『復讐』シリーズや『蛇の道』『蜘蛛の瞳』に似た余韻。
    意識の高いスナッフ映画の撮影隊というアイディアが秀逸。監督や役者に成り損ねた者達が今ではAVを通り越しスナッフ映画作り。それぞれの美意識と表現者の誇りを胸に芸術という概念と取っ組み合う。
    キャラ作りが巧みで妙なリアリティーがある。一番近いのは児童ポルノ系裏AVの制作チームなのか。職人肌の埋葬虫〈シデムシ〉(藤口圭佑氏)、驢馬(相川佑輝氏)のあの感じは凄く良く判る。
    ただ、クライマックスの撮影にどうしても撮りたい作品、撮らなければならない作品の感じが出なかったのが残念。その作品こそが『ドグラ・マグラ』の『九相図』のような物語の根幹に関わっていた方が盛り上がった。
    凄くリアリティーのある人物造形と杜撰な計画等の落差が激しい。『これ、本当にあるんじゃないか?』とゾッとさせて欲しかったが。
    久保瑠衣香さん演じる記者の設定が良い人過ぎでは。友情が唐突で感情移入出来ず。及川空美さん(仕事意識の高いピンク・コンパニオン)、大田彩寧さん(死に際に名シーン有り)もかなり良かった。

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    2019/11/29 13:51

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