酔いどれシューベルト 公演情報 劇団東京イボンヌ「酔いどれシューベルト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    前回公演も拝見させて頂いた同演目でしたが、目から鱗が落ちるくらいに良くなっていました!
    ブラッシュアップにてレベルアップしたというよりも、REBORN(生まれ変わった)ではないかというのが正直な感想。

    前回公演が悪かったという意味ではないにしろ、台詞・展開がめちゃ良い感じにフルチェンジ。
    分かりやすく且つ面白くなったと言えば簡単なのだけれど、それは同時に全ての役者さん達に活き活きとした演技をもたらし、観る者にそれぞれの考え方の違いや想いが伝わったうえでシューベルトの狂おしいほどのもどかしさを俯瞰で(時には定点で)理解できてしまうのだから味わい深さは格別。

    例えばシューベルトの恋敵。
    彼の振る舞いは一見嫌な奴に見えても、一人の人間としてちゃんと観ることができるので、決して悪役という括りには収まらない。
    笑いも豊富、有益に取り入れられ、登場人物の持ち合わせた人柄から思わず生まれ出る笑いであるのがイイ。
    登場人物達の恋愛、自己愛、略奪愛、友愛…沢山の愛が入り乱れて、本来それら全てが刃を向けているわけでは無いのに、シューベルトをどんどん追い込んだり素通りしていく様が何とも切なく心揺さぶられます。

    小演劇でもダブルコール。
    その確信を持って私も強く拍手していました。
    ドラマとしてこんなにも高く飛躍したのであれば、完成度は申し分ない!で全然良いのですが、前回の様に生演奏を取り入れた「音楽」も融合させる必殺技を持っている劇団さんなので際限なく高みを望める演目だとも思えました。

    ネタバレBOX

    悪魔と天使。
    悪魔の囁きは怪しさに満ち、邪悪を隠し持った契約だと分かっていても切羽詰まった者なら絶対に飛びついてしまうであろう吸引力があり、
    一方で天使は厳しくも慈愛に満ちた言葉を投げかける。
    両者の間で揺れ動き、結局本来の想いが遂げられなかったシューベルトは最期まで渇望に囚われたまま逝ってしまったのだろうか。
    否、最後に創り上げた名曲はそれでは生まれる事はなかったであろうと。
    荘厳な彼の作曲をバックにしたラストシーンでは、その美しさに思わず鳥肌が立ちました。

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    2019/11/29 02:11

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