酔いどれシューベルト 公演情報 劇団東京イボンヌ「酔いどれシューベルト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/11/28 (木) 14:00

    悪魔と天使というメンタルの葛藤と、リアルな経済事情とのバランスが面白かった。後半の緊張感溢れる展開の方が作者の本領発揮、という気がする。悪魔が大変魅力的で、シューベルトならずとも誘惑に負けるだろうと思わせる。生歌・生演奏でなくても、テーマは十分伝わると感じた。

    ネタバレBOX

    31年の人生で600曲の歌曲を作ったシューベルトの苦悩・・・。
    舞台は場末の酒場。
    酒樽のテーブルが2つ、その傍に椅子が2つずつ、カウンターと酒瓶の棚。
    曲が作れなくて酒浸りのシューベルト、
    それを見守る幼馴染のクラウディアは、病気の父親と弟妹の為
    成金のバロンと結婚することを決意する。
    曲も作れず、クラウディアも失い、失意のシューベルトは
    ついに悪魔と取引をする。
    その内容は、必ず売れる曲1曲と、寿命1か月を交換するというものだった・・・。

    物語は、美しいラストシーンに向かって後半に集約される。
    シューベルトは、悪魔との取引によって得た成功の後、
    真の苦悩に苛まれることになる。
    自分の才能ではなく、悪魔の作った曲で成功したことが
    彼を絶望へと追い立てる。
    加えて悪魔から、残りあと1か月の命と告げられて
    取り返しのつかない過ちを悔いる。

    シューベルトが息を引き取る前、クラウディアが彼に告げる言葉が
    物語の全てを語っている。
    「悪魔も天使も、あなたの心の中にいる。
    だから作品はすべてあなたが作ったものだ」
    人生の最期に、彼を救う言葉だ。
    この美しいラストシーンに向かって転がる後半に
    クラシック音楽と演劇の融合を感じた。
    作者の持ち味も、後半は自然に出ていると思う。

    キャラクターの中では悪魔(米倉啓)が出色。
    魅力的で、これなら誰もが誘惑に負けるだろうと思わせる。
    力のある役者さんがキャラにハマって素晴らしい。

    劇中、もっとたくさんシューベルトの作品が流れても良いと思った。

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    2019/11/28 21:53

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