満足度★★★★★
藤原竜也、鈴木亮平の小学生姿に違和感を覚えなくなるほど、主役2人の演技が光っていた。考えてみれば、なんとも意味深なタイトルである。夜もおちおち眠れないほど、子どもの世界は大変なのだ。そして、その子どもたちの世界には、当然ながら大人たちの人間関係、家庭の事情が影を落としている。嫉妬、憧れ、憎しみ、悲しみ、寂しさ‥、さまざまな感情が渦巻く社会で天真爛漫に生きることは、子どもにとっても容易いことではない。藤原竜也演じる鉄志と鈴木亮平演じる圭一郎も、それぞれに複雑な感情を隠し持ちながら生きている。木場勝己の吐く、ごく当たり前のセリフが心にしみる。「子どもはえこひいきしてはいけません」。秋元松代のエッセーでもこんな一文を見つけた。「子供は親の愛情の照り翳りに敏感なものだ」。蓬莱竜太ならではの、いろいろと考えさせられる芝居だった。