KAPPA〜河童〜 公演情報 ミュージカルを考えるチーム ビエンナーレ「KAPPA〜河童〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     当パンにアンケート用紙も入っていなかったが、ネットで余り厳しいことを言わせない為にも付けた方が良さそうだ。序盤から中盤辺りの展開は凡庸で集中が途切れる。

    ネタバレBOX

     ミュージカル界に新風を、ということらしいが所謂ミュージカルをそれほど観ていない自分には、これで新風と言えるのか否かは定かで無い。然しストーリーテリングな作品でも、ミュージカルとして上演された作品はそれでも数十本は観ているだろう、そのような作品と比較した限りでは、それほど新機軸を感じた部分は無い。若干現代社会の創られた表層性やその虚妄を見抜くことのできない勉強不足や知の欠落傾向に己の存在根拠が揺すられ自らを失って漂う哀れな人間存在が発するトートロジカルで陳腐な堂々巡りが、その内実を欠き結果として実体を虚体化してゆく様は木霊のように描かれているとは思ったが、そこから先に知が踏み込んでいる形跡はない。
     一応大筋を追って見えてきた解釈は、6体の人間の形をした♂・♀が、河童であるかも知れにと嫌疑を掛けられ、河童では無いことを自ら証明しなければならない、という悪魔の論法に縛られた結果自縄自縛を強いられ、何とかそれから逃れる為の旅をしつつ、ああでもない、こうでもない、という答えの出せないもどかしさの中で食糧も尽き、遂には命の危険に晒されるが、この試練を何とか持ち堪えある場所に辿り着くと、そこは空気も水も澄み、汚染もされていない桃源郷。そこで彼ら・彼女らは、自らが解放され浄化されて世界に溶け込むことを学んだ。即ち、ここに描かれているのは、普通の人間存在(高い能力や知性、天分に恵まれた一部の人間ではなく)凡庸そのものの人間のイニシアシオンではないか、という解釈だ、彼らは自分達が全員河童であったと気付き、浄水の中を自由に泳ぎ回るのである。当然のことながら、問題解決など一切ここには無い。
     然し、上演形態でいえば、歌の上手い役者とダンサーのキャスティングはバランスが良く、天井から丁度ブランコのように吊り下げられたプレートを上下に動かすことで水面を見下ろす形になったり、水中になったりの演出は面白く拝見した。

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    2019/11/24 22:00

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