抗菌バスターZ エピソード0.4 公演情報 ACファクトリー「抗菌バスターZ エピソード0.4」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    表層的な観せ方は、映画「ミクロの決死圏」を連想させるが、もう少し重層的とも思える。体内の器官機能におけるリアリティよりも演劇としての面白さ、エンターテイメント性を優先させた公演。当日パンフに、この「抗菌バスターZ」は14年前に初演しており、この間に何度も再演を試みたが実現できなかったとある。その意気込みが感じられる好演だと思う。
    (上演時間2時間20分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    1963年、フクシマ製薬のフクシマ博士はミクロサイズになって患者の体内に入り病原菌と戦い治療する方法を発明し、2019年の現在 新たに時間移動を併用した治療法を開発した。その博士が病(心筋梗塞)で倒れたため、原因究明と新治療法の有効確認を目的に、抗菌バスターZがフクシマ博士の体内に入って過去に遡り...というサイエンスコメディ。ちなみに過去に遡行できるのは、56年前に体内に入った抗菌バスターズZメンバーのDNAを継いでいる者に限られる。

    セットは胃体部を中心に胃底部 前庭部という胃の上部・下部を思わせる階段状の暗色マットが積まれている。体内変化によって何か所かのマットを動かすことで動きが単調にならない工夫をする。物語の魅力は、現在の抗菌バスターズZが56年前にタイムスリップすることで、フクシマ博士の体内で自分の母親や祖母と邂逅し、時代感覚や先時代の情報漏れなどの笑い。この時代間隔あるメンバーが「善玉」と「悪玉」(医学的に言う意味とは違う)とに分かれて戦うアクションシーン。もちろんメイクや衣装でそれらしく外見で観(魅)せる楽しさ。

    物語は更に後の時代、2075年から(偽)息子が遡行してくる。その目的は、フクシマ博士は研究成果を自社独占にせず、広く他の製薬会社に開放しており医薬業界に混乱を招いているため、フクシマ博士の命を...。新種の菌「悪玉」と抗菌バスターズZ「善玉」の戦いが勧善懲悪的に描かれる。そこには何となく医薬品の特許絡みを思わせるような展開。そして映画「赤ひげ」ならぬ赤チン男から、貧しく病む者とそこで懸命に治療する医者のイメージが重なってくる(独占せず病に苦しむ人のため)。それらを含め、何度も繰り返される"化学"と"医学"の融合、その知見の広さが このSF作品の創作力だろう。

    アクション、娯楽性(ダンスシーン)や空中で演技をするエアリアル・アクトのビジュアル感覚、さらに時間警察による時間の速度違反などの異次元ならではの創作等 観客を楽しませ飽きさせない工夫を凝らす。そこに、この公演の魅力と意気込みが感じられる。
    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2019/11/16 13:14

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大