たとえば、車が跳ね上げた水しぶきを浴びた気分 公演情報 ガポ「たとえば、車が跳ね上げた水しぶきを浴びた気分」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    物語では描き難い感情を、このタイトルで何となくニュアンスを伝えようとする。劇中でもこのタイトル名は出てきて、相手に質すが…。自分の内にイメージは出来るが、それを具体的に表現するのは難しい、そんなもどかしさが描かれる。2人の不可解な感情が交差することによって露になる激情。その濃密な会話で繰り広げる室内劇は面白かった。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    この劇場のオーソドックスな配置で、入口側が客席、奥が舞台になっており一方向からの観劇になる。セットは白い衝立を折り返し室内壁をイメージさせ、下手側の壁に絵画が掛けられている。中央にテーブルと椅子2脚。テーブル下に編籠、ゴミ箱、テーブル上にティッシュ箱、少し離れた下手側にジャンボクッションが置かれている。女性部屋の最低限の外観を現し、記載した小物はすべて利用するという拘り。この狭い空間に2人の息遣いが伝わり緊迫感が漲る。

    梗概は、電話で音羽千佳(勝島乙江サン)が彼氏からの別れ話に激高している時、見知らぬ女が部屋に闖入してきて...かみ合わない話の末、闖入してきた女・才川信子(坂崎愛サン)を彼氏の新しい彼女と誤解する。信子の正体は、そして何のためにやってきたのか、といったミステリードラマとして展開していく。公演の魅力は、このミステリー仕立てとして観客の興味を惹き牽引していくところ。同時に千佳の生き様を通して人間の優しさと逞しさを観せる。結末まで二転三転させ観客の集中力を逸らさない観せ方は上手い。ちなみに、千佳の誕生星座や血液型を間違えて答えているのは、早い段階で種明かしになるからか?逆に正解していれば、不気味さが増すかも…。

    2人がテーブルに並んで座る光景は、映画「家族ゲーム」を連想し、観る者に奇妙な印象を与える。普通であれば2人が向かい合って座るが、演劇としての演出(観客に背を向けない)と同時に、この公演の特長が観えてくる。2人の心の内にある虚々実々の探り合い、直接 目をあわせないことで虚構性を表現しているようだ。また映画では、音楽は一切入らず代わりに食べるときの音など、効果音が聞こえる。逆に、この公演ではシーン毎に違う音楽を流し雰囲気を作り出している。

    2人の息詰まる会話「人間は生まれながらにして不平等」「悲しみと喜びは同居し表れる順番が違うだけ」などの含蓄ある言葉の応酬を通して、何となく在りそうな修羅場が観えてくる。前半の対立的な関係から後半の心情溢れた親愛感へ心境が変化していく様を自然に描く。表現し難い感情をダンスと歌で現す。そのダンスの振付...向かい合い互いに腰が引けた格好、伸ばした腕だけが相手の手のひらと合わさっている。それが段々と近づく。そこには初めは見知らぬ者同士の警戒心、それが段々と気心知れてというイメージに思える。その意味で、敢えて入れなくてもよいダンスシーンを挿れているのは感情表現の1つであろうか?
    もちろん2人の演技力は喜怒哀楽といった感情表現をしっかり表しており見事であった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/10/27 21:48

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  • 坂崎愛 さま

    旗揚げ公演、お疲れ様でした。劇団前方公演墳の「もうすぐ、お家に帰ります。」で前墳バックドロップスとして出演していたとき以来、久しぶりに拝見しました。
    とても楽しませていただきました。ありがとうございます。
    次回公演も期待しております。

    2019/10/30 00:39

    ご来場と、ご感想ありがとうございます。机に向かっての横並びでの会話は、どう感じるんだろうかと気になっているところでした。楽しんでいただけて良かったです。これからも、役者として精進します。ありがとうございました。

    2019/10/29 02:20

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