クロスミッション 公演情報 カラスカ「クロスミッション」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/10/26 (土) 14:00

    座席1階A列8番

     2019.10.26㈯PM14:00 アトリエファンファーレ東池袋

     秋の陽射しに夏の名残が香る昨日の昼下がり、アトリエファンファーレ東池袋にカラスカ公演『クロスミッション~十字架ミッション~』を観に足を運んだ。

     23日から11月3日までの2週間に渡り、『十字架ミッション』と『交差ミッション』の2作品を上演する舞台は、それぞれ単独で完結はしているが話は繋がっていて、2作品に共通する登場人物もいるらしく、2作品観るとより愉しめる両作品合わせると4時間の大作になる個性的を超越した登場人物たちが繰り広げる、くだらないのに下品ではなく、のっけから腹筋を使ってお腹の底から笑えるコメディ。

     舞台上には大きな鉄色の十字架があるだけ。

     此処で繰り広げられる『十字架ミッション』は、お人好しが災いして頼られるままに友人知人に金を貸し、仕事も家族も無く、ただ借金だけ背負って生きていた男、葛城良平(紅葉 美緒さん)の前に、クロスクロイツという新興宗教団体の石丸(関 修人さん)とシスターの佐織(有栖川 姫子さん)が突然現れ、借金の肩代わりを引き受ける代わりに、良平と瓜二つの教祖桐斗(紅葉 美緒さん)の身代わりとして教祖になって欲しいと言うが、ひょんな流れで、良平は、クロスクロイツにいるSランクの特定信者という常識から外れた特殊な信者達を救うことになってしまうことになり……という物語。

     ゲームをしない私でも何となくは知っているドの付く魔法と呪文を駆使するロールプレイングゲームとサバンナの動物たちが織り成す感動的あのミュージカルと海外でも高く評価された森の動物たちに育てられ人間嫌いの少女が主人公のアニメ映画を彷彿とさせる野生と超能力と忍術が入り乱れて展開される愛と救済の新興宗教コメディ。

     まだ、千穐楽を迎えていないのと舞台全編にちらりと触れた世界や言葉が散りばめられているので、内容に関する詳細な感想は書けないが、一見、馬鹿馬鹿しく、ともすればくだらないだけに見えつつ、下品にならずに腹筋を使って笑うほど可笑しくて、ニュース沙汰になるような新興宗教に対するチクッとした皮肉がお汁粉に入れるひとつまみの塩のようにピリッと効いたエンターテインメントになっている。

     無責任でちゃらんぽらんに見える様々な問題を抱えるSランクの特定信者の一人一人の心の中にある問題を見つめ、自らがその問題に向き合えるようにさりげなく導こうとする教祖桐斗と渋々ながら教祖の身代わりになったものの、特定信者たちと関わるうちに桐斗と同じようなアイデアで信者たちに寄り添い始める良平が見ているうちにひとつに重なり、同化し、「良い奴だなぁ」と思った。

     こういう事も感じながらも、自分を救えるのは結局自分なのだと大上段に愛や救済を訴える舞台ではなく、頭を空っぽにして、何も考えず、深読みもせず、ただただ面白さに身を任せ、笑いに笑い、観終わったら何度だかスッキリして元気になれる、この目で、その目で間近に観ることでしかその面白さを味わえないからこそ、観て欲しい舞台。

                    文:麻美 雪

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    2019/10/27 15:40

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