小刻みに 戸惑う 神様 公演情報 劇団ジャブジャブサーキット「小刻みに 戸惑う 神様」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    葬儀を行う親族と死者の両観点から描いているが、情緒的な絡みは少なく淡々と執り行う記録劇であり記憶劇のようだ。アフタートークのゲスト、山下千景さんも話していたが、葬儀当日は葬儀社との打ち合わせなど、やることが多くて悲しみに浸っている暇がないというのが、自分の実感。その後じわじわと...。
    公演は、醒めてはいるが思い出は尽きない、湿っぽくなく、どちらかと言えばカラッと描いた世界観が逆にリアルで面白い。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    セットは、ある地方都市の葬儀場の祭壇脇の控室といった場景。中央壁の時計、手前にテーブルと4脚の椅子、上手側にもミニテーブルと向かい椅子。下手側の壺にユリの花が生けられている。まさに葬儀場で見かける光景。今まで葬式をテーマにした劇は何度か観ているが、多くは鯨幕や祭壇・棺があるが、この公演ではバックヤード的な描き。そして遺族である娘達(長女:早苗、次女:京果)は直接 父親(故人)と向き合わず、現実の葬儀準備に忙しい。同時に早苗の夫の失踪、夫の近況と若い同棲相手が出現など、生きているがゆえに起こる騒動が厳かな葬儀という光景に生活感を映し出すというアンバランスが面白い。

    物語は劇作家の楡原拓一郎の葬儀。故人は質素な家族葬を望んでいたが…いつの間にか意に反してドタバタし出してきた。冒頭は住職から始まる宗教談議、そして斎場スタッフや葬儀ディレクターによる葬儀に関する うん蓄話など、その場の説明・記録劇のようだ。一方、亡くなった拓一郎は、彼岸と此岸の間に立って自分の死を見届けるかのように葬儀場を徘徊する。その様はシュールな観察というか俯瞰劇。こちらも娘や孫への気持よりは、若くして亡くなった妻や劇団仲間との会話が中心。舞台上、遺族と故人の直接的な絡みは少ないが、娘の思い出を刻んだ記憶を大切にしていることは十分伝わる。その雰囲気を醸し出す演出は見事だ。

    当日は楡原家の葬儀とは別に、この町の副町長(拓一郎の同級生)の葬儀も執り行われている。アフタートークで作・演出の はせ ひろいち氏が劇作家が政治家に見劣りした葬儀でよいのか、思わず対抗心を燃やしたと吐露。その結果、暗転中のナレーションから拓一郎の遺志に反した葬儀になったことが知れる。自分としては、しめやかに余韻ある結末でも良かったが。
    ちなみに、タイトルは拓一郎が書いた劇作のうち、気に入ったシーンの台詞らしい。神様でも小刻みに戸惑うのであれば、滅多に執り行わない葬儀、その対応に戸惑いがあるのは当たり前かも。

    卑小とは思いつつも疑問が…。
    死後の時間概念は必要なのだろうか。亡き妻(花楓)や友人(百道)が回想シーンへ繋げる際、壁時計の針を動かすために椅子などを踏み台として動かす。そこは照明やパフォーマンスで演出しており、時計はあくまで現世を表現しているのでは。
    もう1つ、葬儀コーディネーターの助手・荻野が1人の時に4脚の1つに何か隠し置いたような動作は何か。その後、早苗が息子・晃司に香典の在りかを教えるシーン。そのため盗聴による香典泥棒かと思ったが、その前に1香典を失敬しておりコーディネーターが香典紛失時?の対応で庇っていることから経過順が逆で違うようだ。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/10/20 00:49

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