海底0.02マイル〜東京ver〜 公演情報 タッタタ探検組合「海底0.02マイル〜東京ver〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     いつもより湿っぽい感じがしたが、海底だから当然か?

    ネタバレBOX

     導入部で浦田が自殺を図るシーンが映像表現される。そこに亀喜という名の呼び込みが誘いを掛けてくる。亀喜は、浦田が何をしようとしていたのか、難なく図星を指す。無論、浦島伝説をベースにしているのだが、どうせ死ぬつもりの人間なら人間を連れて来てはならない、という,スナック・リュウグウへ連れて行ってもトボケられると踏んだ亀喜、成績を上げなければ減給という厳しいお達しを何とか逃れる為に、不都合には目を瞑り、浦田を案内するが。リュウグウのママは元竜宮城の姫・宇坪。去った浦島太郎が何時の日か必ず戻ってくると信じ、左巻きになった竜宮城を一旦は手放したものの、姫君がバイトの鬼となって以前城の在った一画にリュウグウと言う名のスナックを開店、今に至っている。然しいくら玉手箱に入っていた煙とは逆の効果を持つ若返りの煙を吸っても流石に寄る年波には勝てず、最近ではもっぱら車椅子暮らしの毎日で病院通いが常態化している。
     一方、浦田は、様々なことが身の上に降り掛かり一時は仮死状態に陥ったり(この後何度か)と不思議の国のアリスではないが、余りに不思議な世界に来てしまったのでアイデンティティーが覚束ない。(この辺りをもっとシャレノメスと更に面白くなったハズ。また自殺の原因をもっと明確に示した方が良い。その描くべき世界観は、ブラック企業に限らず、一般に多くの日本人に健全でしっかりした企業だと思い込まれている、Mグループ、Sグループを始め日本の総ての企業が現在既にレームダック状態であり、本来ならこれを回復すべくパラダイムシフトを果たすような人材が何らかの方策を採って回復を目指すべき所であるにも関わらず、日本の社会というものは、このような才能をよってたかって潰すことしかしてこなかったが為に、既に新規に本当に新たな社会観を創造し、人々の心象風景と経済生活を成立させる根本的な生産システムそのものの改変ができるような才能は日本に居ない。当然である。日本に居ても唯、卑怯なやり方で邪魔されたり、葬られるだけなのは明らかだから。自分の友人にも海外で活躍できるから日本何ぞに絶対戻って来ない本物のエリートは多い。ホントはこの辺りの事情をからかって欲しかった。それには、浦田が自殺願望を持った原因を掘り下げても良い。岡田さんには、例えばジェレミー・リフキンの「限界費用ゼロ社会」が描くようなシェアリングエコノミー社会、現代思想で特集された加速主義や「負債論」を書いているグレーバーが、ブルシットジョブ(bullshit job)について書いているのを参考になさったら如何か? 世界を排除する所から始めようとするアホな日本社会から見ていては実は何も見えない。喜劇を書く為には、社会をおちょくれるだけの高い知性と世界の中で何がどのように動いているのかを見極める確かな情報がなければならない。スノーデンが指摘したようにアメリカは総ての同盟国に対し、同盟関係を離脱した暁には、枢要な箇所に既に仕組んであるマルウェアが作動し日本のみならず同盟を解消した総ての国は終わる、と警告していた。原発の全電源落されたらそれだけで日本は完全に終わる。原発に迄マルウエアを仕込んでいるか否かは定かでないが。アメリカは態々タイプの異なる原爆を実戦使用した唯一の国であるばかりではない。ABCCは被曝者をモルモットにして冷戦時代の核攻撃の基本データとして用いた。この事実を重く見るべきである。こういう基本的な知識を持って書かないとドライな作品にはならないとは言えるように思う。喜劇はドライであるべきだ。)今回、役者の演技{特に宇坪を演じた斎藤啓子さんの浦田(浦島)との別れのシーンでの彼女の深い表情は役を生きていて素晴らしい}で作家の普遍的だが、事新しくは無い哲学がそれなりの説得力を持ったが、喜劇としては弱いように思う。

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    2019/10/15 00:00

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