Blank Blank Brain 公演情報 劇団芝居屋かいとうらんま「Blank Blank Brain」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    どんなことを考えているのか、人の頭の中を覗いてみたらという興味津々の物語。チラシ説明にあるように人気作家が突然倒れ編集者達が作家の脳内から依頼原稿を抽出しようと試みるというSFファンタジーといった作風だ。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台に長さが異なる白い短冊状の紙が何枚も上の方から吊り張られているだけの、ほぼ素舞台。短冊状は何となく体内の襞のようで、まさしく脳内をイメージさせる。照明は白短冊状、それが幾重にも張られているから諧調することで鮮やかに演出され、音響は場面の雰囲気に合ったものを流す。役者の演技、照明・音響という舞台技術は巧い。

    この人気作家は少なくとも3本の連載を抱え、サスペンス、時代劇、ミステリーといった異なるジャンルの執筆をしていた。冒頭は先の連載ジャンルの内、サスペンスシーンから始まる。そのタイトルは「弾丸黒子」であり、この劇団の次回作(2020年2月上演予定)のタイトルで、しっかり宣伝の意味を込めて観せているところが笑える。脳内の連載シーンから始まる構成のため、物語の全体観を捉えるには難しいが、編集者がバーチャルゴーグルを掛けて登場することで、物語の概観が分かってくる。

    構想していた小説は、第1に「弾丸黒子」というサスペンス物。狙撃手の狙撃に関する うん蓄話、彼に殺された男の恨み辛み、それが結末がないまま続く。第2に「ごめんこうむる~竹田光吾朗の最期」という時代物。父の敵討ちをするため娘・かえで が浪人・竹田に助成を請うもの。敵討ち=殺しは容易く出来ないと諭すが、こちらも堂々巡りの展開。第3が「黒と黒のオセロ」という探偵もの。探偵と助手が出てくるが、オセロの白・黒の反対ではなく黒・黒という探偵に助手が同調するばかり。一応ミステリー小説を思い描いていたようだが…。
    この3つの小説を執筆しており、それぞれ脳内で構想していた内容をバーチャルという形で観せているが、本来別々の話が脳内小説を抽出する段階で混乱、錯綜し出し編集者は自分の担当部分だけを早く抽出したいと無理強いすることで、更に迷走し出すというブラックコメディ。

    自分の頭の中、その考えや空想・妄想を人知れず具体的な形に表すことが出来たらと思うことはある。そもそも具体的に出来るのか?思っていることを、これまた何かの”力”で何となく表象化されて、それを都合よく追認しそうな気がする。自分は他の人(第三者)に自分の意思を伝える時、具体的に示せない時やど忘れした時に「あれ、それ」という指示語を使っているが、相手も「あれね」「それね」と受けて何となくコミュニケーションがとれている。ここに”空白”の意思の伝達のようなものがあると思う。これって公演とそれを観ている観客の関係のように思える。観ているシーンがどのように繋がっているのか、その空白を制作側から委ねられ観客がイマジネーションで埋めているようだ。

    小説家は先の別々の物語を構想していたが、意識混濁の中で物語が錯綜し勝手に展開し出したようだが、何となく付かず離れず微妙な関係・関連性を保ち描かれる。同一作家の無意識下における性格や本音のようなものが浮き彫りになる。真面目、責任感の強い人物、そして重く書き上げる作風のようだ。3つの話は編集者の思惑が反映されるから断続的に描かれるが、それぞれには”殺人”という共通したキーワードが含まれている。それに対する考え方がしっかり示される。物語過程は面白いが、惜しむらくは結末部分が弱いという印象だ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/10/14 01:22

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  • 劇団芝居屋かいとうらんま
    後藤 さま

    楽しませていただき、ありがとうございました。
    次回作もぜひ観劇させていただきたいと思っております。
    宜しくお願いいたします。

    2019/10/15 23:07

    劇団芝居屋かいとうらんまの後藤です!
    コメントありがとうございます!
    もっともっと精進致します!
    また、是非ご来場くださいませ!

    2019/10/15 20:43

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