満足度★★★★★
「瘋癲老人日記」は<老人の生と性>を主題にした谷崎潤一郎の小説である。チラシ説明によれば、主人公・卯木督介 77歳が息子の嫁の足に異常な執着を見せながら魅かれていくというもの。今まで観てきた劇団印象(いんぞう)の公演イメージとかけ離れていたため、どのように観(魅)せるのか興味津々であった。この劇団は「遊びは国境を越える」という信念の元、”遊び”から生まれたイマジネーションからの創作であるが、原作内容を考えれば、下手をすれば息子の嫁との”火遊び”と勘繰りたくなるような…。
この公演は、原作の対象というか観点を変え、演劇的手法を十分に発揮し原作とは異なる魅力を秘めた作品になっていた。その意味で劇団印象の、そして構成・演出を担当した鈴木アツト氏の新しい一面を観ることが出来た。
(上演時間1時間30分)