満足度★★★★★
なんといっても、少年辰郎役の新広裕紀さんの演技!まさに「はだしのゲン」を思わせるような、少年らしい語りに動き。とてもナチュラルで、自然体。本音言って、子供がこういう目に合うのを見るのはとてもつらい。テレビなら目を背けてしまうところなのだが、もちろん彼(彼女でしたね)だけでなく登場人物全員に、自分の役と向き合う真摯な姿勢を感じた。観ている側に原爆のもたらす悲劇を伝える舞台であったが、その悲惨な風景としては印象が少し弱い気がしないでもない。もちろん出演者の演技は伝えるものをしっかり表してはいたし、音響・照明もかなりの効果を上げていたが、動線の為・場の変化の為の白いセットだけではちとインパクトが足りない。舞台にその悲惨な図を画像で次々ぶつけるようなシーンがあったら、もっと有効だったのではないかと思ったりもする。もしくは負傷した人たちの人数もっと多い方が、それに対する恐怖も上がる気がする。捜そうにも人に足を取られて思うように動けない図とか、そこに広がる死体の山、人数という迫力でも可能かもしれないと思ったりもした(素人考えですいません!)。
気になったことがひとつ。暗転が長い!状況から考えて仕方ないとは思わないでもないが、やはり長すぎる暗転は観ている側の集中を間延びさせるし、せっかくの感じたものの持続が弱まる。ここをもう少し早くする努力は必要かと思う。
生真面目な芝居はあまり得意ではないが、こういうしっかりした内容と演技があるのならば、また機会があればと思う。
良い芝居を見せて頂きました。体と心にじんじんと響いてくる作品でありました。