満足度★★★★
三谷幸喜作品を一度は観ておくべしとチケット購入したが、数年前もそう思って観たのを後で思い出した。確かコメディアンの生涯とかで記憶に埋もれていた位で印象もいまいちだったが、比較して今作はなかなかの印象を残した。重大事件に挑んで解決、という筋は「ないらしい」と含み置いたせいか、謎解き要素が複数盛り込まれたのがむしろ加点された感じ。観劇土産になるようなメッセージ性は特段なかったが、戯画化された役たち(演技)であるのに日常の時空に住まう人間の香りが脳裏に残るのは不思議なもので。二、三のアンリアルを除けば、人間を描いた作品であったとの後味である。値段は高いし三谷作品への期待に対してどうであったかはファンには無視できない要素だろうけれど。。
音楽の荻野清子も楽しみの一つ、以前初シアタークリエ観劇となった芝居で十数年振りの荻野ワールドへの期待が、救いようがない舞台(俳優はうまいが本がダメ)もろとも崩れた記憶が生々しいが、コメディ調の三谷作品と相性の良さを見せていた。だが黒テントが松本大洋のフシギ世界を舞台にした音楽劇で自由奔放に煌めいていた荻野清子をもう一度、どこで見られるだろう。