望むツキに想ひをヒメて 公演情報 メグルキカク「望むツキに想ひをヒメて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    現実とバーチャルゲームの世界を往還しながら、人の生き方に一石を投じるような公演。さてバーチャルゲームで展開する内容は、タイトルから推測できると思うが「竹取物語」である。人はいつかは死ぬ。しかし特別な状況下ではない平時では、いつも死を意識して生きている訳ではないと思う。だからやりたい事もいつかやろう、という優柔不断というか先延ばしにしている。そんな”後悔”を現実と仮想の世界を行き来しながら面白可笑しく描いている。緩い感じもするが、自分は好きである。
    ところで、少し意地悪な観方をすれば、生き甲斐というか夢を現実路線に方向転換したことによって物語が動き出したように思うが…。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    セットは中央に変形階段、階段上部には上手側は暗幕で満月を投影し、下手側は更に階段が続く。階段下(板上)は、上手側に竹簾の衝立、そして畳敷きの別スペースと天体望遠鏡。下手側はかぐや姫の住まい格子戸。階段続きにし高さを強調しているのは富士山を表わすと同時に、天上界をもイメージさせる。階段にある橋欄干は朱塗りで時代を感じさせる。セットそのものが竹取物語が書かれた平安時代と現代、そしてバーチャルな世界を象徴するような作りである。暗幕を利用した豆電球の点滅は夜空の星々である。

    さて現実は決められた、いわば運命のような世界であり、バーチャルゲームは、プログラム・AIによって制御された世界、どちらも抗いきれない事を突きつける。その定められた世界にあっても、自分の思いは生きている。結果・結論は決まっていても、その過程での自分のやりたい事の意思は働く。やりたい事=後悔しないことは、生き甲斐であり、夢であろう。物語は主人公・中丸陽介(竹内尚文サン)が恋人のため又は自身の才能のなさから小説家になることを諦める。そのことが富士山での滑落事故を起こすいう皮肉を込めているように思えるのだが…。

    物語の全体構成は面白いが、バーチャルゲームの「竹取物語」が今に伝わる伝承の内容通りで新鮮味がない。登場人物の名前も同じで、死に際の人が、思いの丈を言い残すために単に「竹取物語(一部 ヒーローショーのような)を借用したように思える。
    自分は、現代的なバーチャルゲームを創作し、現実世界と往還させることで既視感がなくなり空想の世界観が広がると思うのだが。とは言え、生死の狭間を往還するという見慣れたパターンではなく、現実と仮想の世界を交錯させるところに現代的な感覚を覚える。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/09/14 01:57

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