満足度★★★
鑑賞日2019/08/16 (金) 19:00
JACROW主宰の中村ノブアキが自劇団以外に初の書き下ろしで青年座に書いた脚本を、宮田景子の演出で上演する、というところを興味深く観た。悪くない。自劇団では社会派と呼ばれ、実話や実在の人物・事件などを描くことが多い中村だが、プログラムで自身も言っているように、家族の問題を入れたあたりは少し珍しい。PC事業部の主任である夫は結婚前の約束に反して子どもを欲しがるのだが、妻は欲しくないと反発する。一方で、会社では若い社員が「限りなく黒に近いグレイ」な処理に不満を述べる…、という物語。会社も妻も一定の落ち着きを見せて終わるのだが、その終わり方は本当に順当なのか、という疑問を(特に家族に)持ってしまうのは私が少しひねくれているのだろうか。役者陣はさすがに青年座と思わせるシッカリした演技力で、巧みに見せてくれる。シリアスな場面でも時折笑いが起こるというのは、演出の力もあるのだと思う。