偉大なる生活の冒険 公演情報 五反田団「偉大なる生活の冒険」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    こんなだらしないのでも生きていていいんだ。こんなダラダラした芝居でもやっていいんだ。そういう生きる意欲というか、勇気が湧いてくる不思議な脱力系の芝居だった。そういうセリフは何もないが、「生まれてすいません」という太宰治的な恥じらいを感じた。前田司郎は小説は何度も読んでおり、舞台は初めてだった。でも、平田オリザチルドレンの一人だということで、雰囲気はわかる。

    元カノ(内田慈)の部屋に居候している男(前田司郎)の、寝転がったり、ゲームしたり、後輩とだべったりのだらだらした生活。ただし、そんな状況は説明されず、ただ女が「あんた、いつまでいる気なのよ」と怒ることで示唆するだけ。説明しないで伝えるセンスは大したものだ。

    照明もファミコンのテレビの画面だけの照明にしたり、スマホの画面の光だけにしたり、余分なものをそぎ落とすミニマムな演出が、なかなか考えられていて面白い。

    つまらない牛の涎劇か、今までにない斬新な口語劇か。10年以上前にこれをやったときは、評価が分かれただろう。今でも、こんなの学芸会以下だという人はいると思う。でも、これまでの演劇とは違う、新しいことをやろうという冒険心(それがタイトルとかみあう)が、舞台を新鮮で若々しいものにしている。


    男が、死んだ妹の話をする。そのうち暗転して、妹と男のシーンが出てくる。過去なのか、夢というか想像の中なのかがあいまいなのだが、この2回の妹とのシーンがあることで、だらだら生活に奥行きが出て、がぜん面白くなった。1時間25分とコンパクトなのが、内容とかみ合っていた。

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    2019/08/13 14:34

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