満足度★★★★★
ダンスを見ることの喜びの一つは、踊る身体から見る身体への振動を共有できるようになることだ。ジャンプ、回転 そのほかいろいろな動き。観客はダンサーのように踊ることができなくても、ダンサーという身体を現身として、自身の身体イメージをはばたかせて楽しむ。この身体間の共振は、もちろん舞台の上での複数のダンサー同士も体験していることだろう。ときに、火花を散らすように、ときに空気をかき回すように。ダンサーたちが舞台の上を縦横無尽に踊る姿、その空気を味わうことは、ダンスの好きな観客にとってこの上もない喜びだろう。そしてそのダンサーが優れて個性的な踊り手であって、なおかつ長年ステージをいっしょに経験している同志であれば、その共振の魅力は輝くことだろう。 イデビアン・クルー2年ぶりの新作、「幻想振動」はそういう輝きと興奮を体験できるステージだった。