満足度★★★★★
ダイレクトに「体罰」に切り込んだ作品。なので、精神的に辛くなるのを覚悟していましたが、とても客観的な目線で鑑賞できました。
「辛くならなかった」=「刺さらなかった」というわけでは無く、それは自分自身が既に社会に出ていて、体罰教師の内面が透けて見えたからであり、大人に対しての畏怖の念よりも「コノヤロー」的なツッコミ感情の方が勝っていたからだと思えます。
ただ過去に強烈な「体罰」の経験がある方には、やられる側の内面表現も鮮やかに痛々しく、やはりキツイ作品ではありそうです。
野球部監督は確かにキリッとしていて外部から見ればいかにも評判良さげな人物。
しかし裏の顔は現在ならSNSで拡散されて一発アウトのタイプ。
加えて部員に対しての言い方・論調が本当にあざとくて腹立たしいったらありゃしない。
この人物像の絶妙なリアルさは、きっと実在したモデルの復元描写力だろうと推測します。
田舎町、世間からの英雄視というバリアに守られた野球部内での恐怖政治。
だからと言って作品が陰湿なイメージに支配されていなかったのは高校生たちの精神的・肉体的ダメージに対しての回復力と青い狡猾さ・・・若さ特有の生命力もしっかり描かれていたからでしょう。
そういう意味では観ていると多少威圧する事の必要性も感じてしまうのですから、正しい教育とは本当に難しいものだと実感します。