ハナイトナデシコVol.9 公演情報 ハナイトナデシコ「ハナイトナデシコVol.9」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    良質な脚本と確かな力量の演者が合体した短編2作品。

    ネタバレBOX

    「Mask game」
    身元を隠す為に目元にマスクをつけた3名の男女(男1女2)。密室内で嘘をついたら爆弾が爆発するという過酷な状況下で繰り広げる会話劇。
    PCを介して届けられる主催者からの質問に答えたり議論しているうちに、登場人物の素性や情報が観客にインプットされていく。その技法が非常に巧みであると感じた。
    嘘をついたつもりがなくても、主催者に嘘判定される(嘘3回で爆発)ことによって、当人も気づいていなかった本音が露呈される。
    こう書くと緊迫感溢れるサスペンスのようだが、男のどこか軽妙な台詞回しや、真剣に質問に対峙し生真面目すぎるが故にアンバランスな人間性を垣間見せる女が、シチュエーションコメディーを成立させている。

    「晴れの日のクロニクル」
    姉思いの妹がセッティングしたお見合い。そのお見合い相手が家にやってきた(?)ところから始まる勘違い、すれ違いコメディー。
    この勘違いを引き起こすのが、そこまでは全く独立した短編であると思っていた「Mask game」に登場していた面々。ゲームから3ヶ月後という設定でそれぞれの状況に変化がある。余計な説明がなくとも今起こっていることが瞬時に理解できるようになっている。
    用意周到で繊細な脚本。
    終盤、姉妹が実は血の繋がりがないことを告白し、一転シリアスな場面が展開されるも、先の物語で各々に抱えている心の闇を既に知っている観客は、演者の反応を違和感なく受け入れることができる。
    物語の発端となる姉のお見合い相手は、名前や職業など多くの情報は提供されるのだが、結局最後まで姿をあらわさずに終わったところがまた良かった。

    終演後物販付近にいた女性スタッフに声をかけたところ、なんとその方が脚本の長田智美さんご本人でした。素敵な脚本ありがとうございました。

    出演者は3人と5人。少人数でも面白く、高品質な作品を生み出せると改めて認識しました。

    ハナイトナデシコ(花糸撫子)
    別名 : かすみ草
    花言葉 : 幸福、切なる願い、夢心地、感謝、人の魅力を引き出す…当日パンフレットより

    今後も注目したい団体です。

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    2019/07/21 21:18

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