軌道上のボクたち 公演情報 法政大学Ⅰ部演劇研究会「軌道上のボクたち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     現代日本を生きる若者の真っ当な認識と、その真っ当さを抱えて覚悟する姿に、人生を遥かに長く生きてきた自分は痛みを伴う申し訳なさと無念を感じる。(追記後送)

    ネタバレBOX


     因みに舞台は中央に輪切りにした大きな円筒、その中央にひと回り半ほど小型の矢張り輪切りにした円筒が重なって、入口側に向いて新婦が付けるヴェールのような被り物をした若い女性が腰掛け、彼女と背中合わせに若い男が腰掛けているが、互いの目の前には。天井から真っ白な布が床まで垂れており、床も白で統一されている他、女性のストッキング、靴下に至る迄総て白で統一されているのは、ここに居る、そして1週間後には、己の責任ではなく死に向き合う定めの無辜の存在、むくむくの毛に覆われた犠牲羊、或いは白い雲や在り得れば親たちにとっての天使を示唆していよう。ここには、この存在達の己の宿命に対する正確な判断と悲しむべき覚悟が渦を巻いている。各自が携えるライトや天井に鏤められた幾多の光点が、更に哀しみを増す。決して安っぽい抒情やセンチメンタリズムではない、理性によってメスを入れられた哀しい認識の震えが、作品全体に満ち、観る者によっては異様な美しさを顕現するであろう、クリスタルな美と硬質な哀しみに全編彩られた作品である。若い人々が、このように冷静な目で自らをオペする姿が自分には痛ましく、辛いのである。

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    2019/07/14 01:53

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