五右衛門 公演情報 弌陣の風「五右衛門」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    浄瑠璃や歌舞伎で義賊として人気を博している石川五右衛門、時の権力者である豊臣秀吉との騙し合いなど俗説を含め面白可笑しく描いた痛快時代劇。何となく歌舞伎の「見得」を切り、多くの殺陣シーンは大衆剣劇を思わせるような。
    (上演時間2時間強)

    ネタバレBOX

    セットは上手側に階段状のスペースが設けられているだけのシンプルなもの。客席側前面を広くしているのは殺陣シーン、階段は上下の躍動感、それぞれアクションをダイナミックに観せるための工夫。照明は多影を演出する照射、諧調させ情景に変化をもたらすなど巧み。

    梗概…豊臣秀吉が天下統一を果たした時代、富豪等から盗んだ金を貧しい庶民にばら撒き義賊として慕われた石川五右衛門の俗説、そこに五右衛門の隠された素性、生い立ち、恋愛模様を織り込み魅力あふれる人物像として描く。五右衛門が戦災孤児で、忍者の里で育ったという設定。孤児たちに生きる術を与えたのが織田信長であり、信奉している。そのため信長の妹・お市の方の窮地(浅井や柴田といった敗戦武将)から救い相思相愛に。一方、本能寺の変に隠された秀吉の企みを暴き...。

    公演の魅力は、五右衛門の素性やお市の方、秀吉との確執など奇想天外(お市の方=娘・茶々、信長殺しは秀吉の仕業、五右衛門は伊賀の里者等)な設定をすることで物語を面白可笑しく展開させるところ。同時にその観せ方は歌舞伎仕立てのような衣装やメイク、所作など演出にも拘りが観える。もちろん殺陣等のアクションも観応えがあり時代劇ファンならずとも楽しめる。五右衛門は浄瑠璃や歌舞伎の演題としてとりあげられ、創作の中で次第に義賊として扱われ、時の権力者である秀吉の命を狙うという筋書きが庶民の心を捉えたという。その大筋は変わらない。

    伊賀の里を攻撃したのは織田信長ではなかったか?などは卑小なこと。あくまで創作演劇の中のこと。五右衛門の生き様とともに戦国時代という戦乱の世に翻弄された女性の悲哀。生きるためには何でもやるという強かな姿が印象的だ。また庶民の暮らしを脅かす殺戮や強奪、そして年貢の取立ての厳しさ。理不尽な時代に一筋の光明をもたらす義賊・五右衛門の大胆にして痛快な行為は庶民の味方。その娯楽性を十分堪能させてくれた公演。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/06/16 12:36

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